■エクスキューズ
<世界は、人類が地球環境と調和しつつ平和で豊かな暮らしを続けるための現実的なエネルギー源として、原子力発電の利用拡大を進め始めていました。このような中で、東日本大震災および福島第一原子力発電所の事故が起こりました。我が国は、事故終息に向け最大限の力を発揮しなければなりません……>
一読、批判しようのない“きれい”な文章。実はこれ、東大大学院工学系研究科原子力国際専攻のウェブサイトに今、掲載されている「原子力工学を学ぼうとする学生向けのメッセージ 福島第一原子力発電所事故後のビジョン」の冒頭の一節だ。
「典型的な東大話法の一つですね」。山男風のひげをはやした安冨さんは、おもむろにそう指摘した。「原発を促進したのは『世界』ではなく、一部の国の政治家、官僚、電力会社、学者・技術者です。なのに『世界』を持ち出すことで責任をあいまいにし、自己を免責している。また『我が国は……しなければなりません』というのも、日本の原子力関係者が必ず使おうとする勝手な言い分ですね」
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20120323dde012040042000c.html
へえなるほど.東大出身じゃないけど,かつて,何だったかの問題に対して「みんなで考えよう」という趣旨で書いたことがあります.
◇東大話法の規則
- 自分の信念ではなく、自分の立場に合わせた思考を採用する。
- 自分の立場の都合のよいように相手の話を解釈する。
- 都合の悪いことは無視し、都合の良いことだけを返事する。
- 都合の良いことがない場合には、関係ない話をしてお茶を濁す。
- どんなにいいかげんでつじつまが合わないことでも自信満々で話す。
- 自分の問題を隠すために、同種の問題を持つ人を、力いっぱい批判する。
- その場で自分が立派な人だと思われることを言う。
- 自分を傍観者と見なし、発言者を分類してレッテル貼りし、実体化して属性を勝手に設定し、解説する。
- 「誤解を恐れずに言えば」と言って、うそをつく。
- スケープゴートを侮辱(ぶじょく)することで、読者・聞き手を恫喝(どうかつ)し、迎合的な態度を取らせる。
- 相手の知識が自分より低いと見たら、なりふり構わず、自信満々で難しそうな概念を持ち出す。
- 自分の議論を「公平」だと無根拠に断言する。
- 自分の立場に沿って、都合の良い話を集める。
- 羊頭狗肉。
- わけのわからない見せかけの自己批判によって、誠実さを演出する。
- わけのわからない理屈を使って相手をケムに巻き、自分の主張を正当化する。
- ああでもない、こうでもない、と自分がいろいろ知っていることを並べて、賢いところを見せる。
- ああでもない、こうでもない、と引っ張っておいて、自分の言いたいところに突然落とす。
- 全体のバランスを常に考えて発言せよ。
- 「もし○○○であるとしたら、おわびします」と言って、謝罪したフリで切り抜ける。(安冨歩著、明石書店「原発危機と『東大話法』」
このリストの一つひとつが良いとか悪いとかいうよりも,連想するものがあります.「詭弁」です.探してみると…
- 事実に対して仮定を持ち出す
- ごくまれな反例をとりあげる
- 自分に有利な将来像を予想する
- 主観で決め付ける
- 資料を示さず持論が支持されていると思わせる
- 一見、関係がありそうで関係のない話を始める
- 陰謀であると力説する
- 知能障害を起こす
- 自分の見解を述べずに人格批判をする
- ありえない解決策を図る
- レッテル貼りをする
- 決着した話を経緯を無視して蒸し返す
- 勝利宣言をする
- 細かい部分のミスを指摘し相手を無知と認識させる
- 新しい概念が全て正しいのだとミスリードする
- 全てか無かで途中を認めないか、あえて無視する。
- 勝手に極論化して、結論の正当性に疑問を呈する。
- 自分で話をずらしておいて、「話をずらすな」と相手を批難する。
- より重要な課題を急に持ち出し、今までの議論をなかったことにする。
- 電波を発する。
ゆんゆん投稿の条件
- 事実誤認及び思い込みを前提に理論展開
- 不適切な類推・比較
- 論理の不連続・飛躍
- そのまま自分への批判となっているのに気付かない
- ただの空想、もしくは願望
http://www.hi-ho.ne.jp/inverse/kibennogaidorain.htm
- 2.1 前件否定の虚偽 (denying the antecedent)
- 2.2 後件肯定の虚偽 (affirming the consequent)
- 2.3 誤った二分法(false dilemma)
- 2.4 未知論証(ad ignorantiam)
- 2.5 媒概念不周延の虚偽 (fallacy of the undistributed middle)
- 2.6 媒概念曖昧の虚偽 (fallacy of the ambiguous middle)
- 2.7 早まった一般化(hasty generalization)
- 2.8 合成の誤謬(fallacy of composition)
- 2.9 分割の誤謬(fallacy of division)
- 2.10 論点のすりかえ(Ignoratio elenchi)
- 2.11 ストローマン(Straw man)
- 2.12 連続性の虚偽(Continuum fallacy)
- 2.13 論点回避(Begging the question)
- 2.13.1 論点先取(petitio principii)
- 2.13.2 循環論証(circular reasoning)
- 2.13.3 充填された語(loaded language)
- 2.14 自然主義の誤謬(Naturalistic fallacy)
- 2.14.1 道徳主義の誤謬(Moralistic fallacy)
- 2.15 伝統に訴える論証(Appeal to tradition)
- 2.15.1 新しさに訴える論証(Appeal to novelty)
- 2.16 同情論証(ad misericordiam)
- 2.17 権威論証(ad verecundiam)
- 2.18 多数論証(ad populum)
- 2.19 脅迫論証(ad baculum)
- 2.20 対人論証(ad hominem abusive)
- 2.21 状況対人論証(circumstantial ad hominem)
- 2.22 連座の誤謬(guilt by association)
- 2.22.1 隙間の神 (God of the gaps)
- 2.23 多重尋問(complex question)
詭弁 - Wikipedia
最初の記事(というか本)のリストもそうですが,各項目は,「読むときに気をつけよう」というよりもむしろ,「書くときに気をつけないと」と考えないといけませんね.
もしかしたら関係があるのかもしれない,過去に書いたこと:空中戦の東京,地上戦の大阪