わさっきhb

大学(教育研究)とか ,親馬鹿とか,和歌山とか,とか,とか.

ソフトウェアエンジニアリングの授業1・2

読み終えました.

大学生にソフトウェアエンジニアリング(ソフトウェア工学)をどのように講義し,演習させるとよいかを明快に示した名著だと思います.
実習の進め方の中で,一番驚き,また興味を覚えたのは,デザインレビュのところです.作業方法,文書フォーマットは示しつつも,教員はこのレビュに関わらないことを宣言していることなど.自分の研究室に当てはめてみると,3〜4人でデータベース設計をさせていて,よく研究室に集まっていますが,どこがまずいかどう直したかを文書で管理している人はいないですね….
演習の評価については,相互評価シート(2のpp.192-193)が興味深いです.レビュにせよ相互評価にせよ,学生の自主性に期待しつつも,注意書きをつけて(おそらく口頭でも説明されているのでしょう),まずい方向に進ませないよう,制御しています.なお,p.193のコメント欄は嘘くさいですね.
講義の内容については,Bohem(ベーム),PMBOK(ピムボック)など,いくつかの固有名詞の読みを知ることができ,参考になりました.ただし,各論の中で,例えばオープンソースソフトウェアとリカーシブコールについては,説明不足のように感じました*1.とはいえこれらは紙面の制約*2によるものなので,他で補えられればいいでしょう.

*1:ソフトウェア開発におけるオープンソースソフトウェアの意義の一つとして,「既存のものを使う」とも「新規に作る」とも異なる,「既存のものを改良する」という選択肢が提供されたことが挙げられます.リカーシブコールについては,それを用いるのが適切な対象(ディレクトリ探索など,再帰的なデータ構造へのアクセス)が存在すると思うのですが.

*2:ページ数に上限があるから,というのではなく,ここでページ数を割くと,他の同様の事項と比べて分量のバランスがおかしくなるので,必要最小限のところで抑えるということです.