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報告書でひと工夫

前の前の金曜日に,オープンラボとして各1年生が研究室を訪問したのですが,前の金曜日,つまり一昨日に,1年ゼミの中で報告書を提出してもらいました.
これをこちらで順に読み上げて論評するのでは,話す側も聞く側も退屈だなあと思いまして,今回は,以下のようにして,みんなが関わるようにしました.
まず準備として,私も報告書を作っておきます.私の場合は,オープンラボを開く側としての報告ですね.それと,「オープンラボ」という名称の意味が分かっていないかもしれない,と考えて,ラボ(loboratory)をオープン(開放)すること,1年の時点で研究活動に関心を持ってもらうという狙いなども,書いておきました.
もう一つ準備するものがあります.PowerPointを起動して,田の字型に線を引き,小箱に「報告書」「読み上げ」「質問」と書き込みました.残り1つの小箱は使用しません.印刷して,4つに切り分けました.
それでゼミ本番ですが,まず報告書を座席順*1に回収し,最後に私のをつけます.「読み上げ」の札を私が持ち,「報告書」は私の2人分隣,「質問」はさらに3人分隣に渡します*2
ここからがメインループthe main loopですが,まず「読み上げ」の係になっている私が,「報告書」の人の書いたものを見て,読み上げます.書いてあることを一字一句読むのではなく,末尾の「である体」は「です体」に変更し,体言止めの場合にも,文になるよう末尾表現を添えます.図も可能な限り言葉で表現します.「以上です」で終えます.
次に「質問」の人に質問を考え,言ってもらいます.報告書を見たほうがよければ,見てもらいましょう.質問には「報告書」の人が答えます.私が答える*3こともあります.
質疑が終わったら,「報告書」「読み上げ」「質問」の札を持っている人は,それぞれ左隣に渡します.「読み上げ」の人が持っている報告書の束は,先頭(今読み上げたもの)を一番下に回して,左隣に送ります.これで,メインループの1回が完了です.
あとはこれを報告書の人数分,実施します.
今回これを行い,学生も関心を持って聞き,その場で質問をひねり出してくれました.読み上げることで誤記に気がつき,その場で修正してもらうこともありました*4
この「当番制」は,次回また1年ゼミを担当する際にも使いたいと思っています.ただし適用する際に,二つ注意点があります.一つは,ゼミも中盤となり,1年生同士で友好的に会話ができるようになっていた状態で実施したことです.質問も「お手柔らかに」とか「それは痛い!」とかいった,くだけた表現が見られました.3回目まであたりでこれをやっても,みな緊張していたでしょうね.
もう一つは,「報告書を,書いた人以外が読むような状況があるか?」の確認です.研究室活動などでは,書いた人が読み上げて,そこから教員や他の学生の質問を受けるのが当たり前でしょう.といっても,やはり,作成者≠朗読者*5という状況はあり得ると思います.会社で,部下が作成した報告書を,会議などで上司が読み上げる状況です.もちろんその場合,部下は,上司が読むことを前提にして作成すること*6,上司はその内容をチェックし,添削することが必要になるでしょう.

*1:いつも,円状に,学籍番号順で右回りに座ってもらっています.

*2:ここの「2人」「3人」は適当ですが,円状のだいたい1/3ずつの位置に割り振るよう配慮しました.今回の参加者は,私を入れて8名でした.

*3:「読み上げ」だからではなく,各研究室の活動や情報工学の諸技術を少しは知っている者としてのアドバイスです.

*4:教員が多数のレポートを見るとなると,単純な誤記は見過ごしがちですので….

*5:この日記を書きながら,辞書を引いて,「朗読」という言葉を見つけました.「報告書」「朗読」「質問」の3つにするほうが,よかったですね.

*6:こうなると,1年ゼミの範囲外ですが.