読解力は,国語だけでなく,各教科,総合的な学習の時間など学校の教育活動全体で身に付けていくべきものであり,教科等の枠を超えた共通理解と取り組みの推進が重要である.
(読解力向上に関する指導資料―PISA調査(読解力)の結果分析と改善の方向, p.13)
そしてpp.20-42に,ページ当たり2個の具体的な指導例が書かれています.p.19には,学年を横,指導のねらいを縦にした表の中で各指導例の位置を示しています.国語が多いですが,保健体育や技術・家庭でも,読解力向上の話題があるのが興味深いです.
もともとなぜこの本を購入したかというと,「読解力」という観点で,現在の小中学校でどんな教育が必要とされているかを知りたかったからです.そういう点では参考になりましたし,1年ゼミにも生かせそうです.
ここまではこの本に対する感想.ここからは自分の世界です.
読み進めていって,情報教育という観点で,別の興味がわいてきました.すなわち,
- テキスト = 他人のコード
- 自分の考えを書くこと = 自分のコード
と対応付ければ,ここに書いている読解力の定着・向上というのは,プログラミング能力の定着・向上acquirement and advancement of programmingとなるのではないか,という問題意識です.
本から抜き出して,プログラミング用語への変換を図ってみましょう.
- 『ア テキストを理解・評価しながら読む力を高めること』(p.15) = 教科書などに書かれているコードを理解・評価しながら読む力を高めること
- 『イ テキストに基づいて自分の考えを書く力を高めること』(p.16) = コードまたは日本語の仕様が与えられたときに,自分の考えをコードで表現する能力を高めること*1
- 『ウ 様々な文章や資料を読む機会や,自分の意見を述べたり書いたりする機会を充実すること』(p.17) = 様々なコードや文書(仕様書,解説書)を読む機会や,自分のコードを書いたりそれを日本語で説明したりする機会を充実すること
冒頭に挙げた引用*2も,変換してみましょう.
プログラミング能力は,情報処理の授業だけでなく,各教科,課外活動など大学の教育活動全体で身に付けていくべきものであり,教科等の枠を超えた「本質を見抜くこと」と,日常からプログラミングを習慣付けることの推進が重要である.
さて,大学生に対して,私は何ができるでしょうか…
限られた担当科目の中で,関連する分野で使われているコードや,元になる仕様や解説書を,原文のまま提示して軽く解釈を加えること,でしょうか.
幸いにも情報セキュリティでは,そういう実例が豊富ですので,明日の授業から取り上げていくとしましょう.