「オブジェクト指向プログラミング」と「オブジェクト指向分析」の両方を適度にin a balanced manner解説していて,復習*1にいい本だと感じました.
手法の説明を控えめにして,その背景,メリット,限界をしっかり解説してあるからなのでしょう.例えば:
誤った現実認識に基づいて行われた分析は,いくらオブジェクト指向を使っていようと,正確にUMLを使っていようと,分析ができたとはいえません.対象を正確に把握するという作業の品質保証は,分析を行う人間側の問題であって,オブジェクト指向が保証するものではありません.オブジェクト指向は,あくまで分析結果を表現するための道具でしかないのです.
(pp.172-173)
Q4 オブジェクト指向で分析・設計すると,何が嬉しいのですか?
(略)プログラミング技術としてのオブジェクト指向と,理解のための道具としてのオブジェクト指向について,話をしてきました.オブジェクト指向のメリットの一つは,このように同じ技術を,プログラミングにも,現実世界の理解にも使えることです.
これが何を意味するのかというと,オブジェクト指向を使うことで,現実世界をソフトウェアの中に作ることができるのです.
(p.182)