わさっきhb

大学(教育研究)とか ,親馬鹿とか,和歌山とか,とか,とか.

どこまで情報公開すればいい?

税金投入に限らず,大学は税法上の恩恵を受けている.にもかかわらず,入試・就職などの情報は都合が悪いからと公開しなかったり,数字のトリックを使って巧妙に隠したりするのは,いかがなものだろうか.同じことを公務員や政治家がした日にはバッシングされる.これまで大学がバッシングされなかったのは,単にカラクリがバレていなかったからにすぎない.
バレないから,罰する法律がないから,という理由でことを済まそうとするのはあまりにも情けないことだ.そうした姿勢が世論の賛成をどこまで得られるのか,はなはだ疑問である.さらに,大学の情報非公開によって,受験生や保護者・高校教員の大学選択が不本意なものになっていたとしたらどうだろうか.大学の情報非公開によってバカ学生の増加にある程度の影響があったと見るのが自然だろう.
(最高学府はバカだらけ―全入時代の大学「崖っぷち」事情 (光文社新書), pp.144-145)

情報公開の必要性を訴えており,一人の大学教員として耳の痛い提言ですが,しかし,どんな情報があれば…もう少し正確に言うと,どんな情報を全大学が公開すれば…受け取り手*1の参考になるかについて,本書全体を読んでも,手がかりがつかめません.もし「それは大学が考えることだ」なら,無責任だし,あるいは標準化の結果,大学の都合のいい情報公開しか出そうにないのが,想像できます.
さて,「情報公開」という言葉こそないのですが,関連して気になる記事があります.

判決後、弁護人は「取り調べの全過程を録画すれば、このような問題にはならない。すべての刑事事件を対象にするのが物理的に無理なら、死刑になる可能性がある重大事件や供述がぶれやすい少年事件に限定して全過程を録画するべきだ」と述べた。

http://www.asahi.com/national/update/1010/TKY200710100359.html

録画対象の限定に,取り調べる側の恣意が働かないかというのも気にはなりますが,注目すべきなのは「全過程を録画」でしょうね.録音録画の機器*2やメディアのコストは,馬鹿にならないでしょう.そして法廷では,たとえば検察側が証拠として提出して,弁護側や裁判官がそれでは不十分だと言い出したりしたら公判期間が延びて,それを知って社会が反発する*3…そんなシナリオが思い浮かびます.
いずれの情報公開も今後,関係者や学識経験者academic expertsによって議論され,「標準化」がなされていきそうです.しかしその結果を,社会がどのくらい許容するかは分かりません.いやむしろ,社会の関心は,別のことに移っていそうです.

*1:「受験者や保護者・高校教員」のほかに,この著者のような大学ライターも含めるべきでしょう.

*2:全過程を録画する取調室を全国いくつかに置いて,対象者はそこに送られる,という展開は不自然ですので,あらゆる取調室に置かないといけない? いや,機器を持ち運び可能にするという手はあるなあ….

*3:こういうとき,「弁護士が引き伸ばした」と当たることになりがちですね.