トータルでバランスを取っていくというロジカル・デザインの考えを推し進めると,さらにデザインに欠かせない要素が出てきます.ひとつは,実際に製造する現場への配慮.そもそも作るのが困難で無駄が多いようでは,優れたデザインにまとまりません.
もうひとつは,時間軸.新時代をイメージさせるようなイノベーションをともなったデザイン.ロジカル・デザインを構成する要素,つまり椅子の使われ方や素材,形,色,新しい生産方法などは,時間の流れとともに変わっていく.これを事前にくみ取る力が必要になってきます.
(ヒット商品を創るデザインの力―「ハイテク&ハイセンス」が企業ブランドを築く, p.112)
プロダクト・デザインにあたっては,展示会で注目を浴びるような「1点モノ」では不十分で,製造のこと,経年劣化*1のことを考えるのが不可欠という主張.
今年度からなくなりましたが,学部他学科向けの授業で,データベース設計構築の経験に基づき,デザインとは何ぞやを説いたりしていました.表現は毎年変えていましたが,将来のことを考えて今モノを創るのだと言っていたこともあります.「将来」の具体例として,上の二つは大切です.
なお,ロジカル・デザインの説明は,同書pp.104-105にあります.読んで理解はできるのですが,なんともすっきりしません.データベースの「論理設計」と違うことが,原因なのでしょうね.
*1:誤解のないように補足.「劣化」の主語は「製品」ではなく,「デザイン」です.