わさっきhb

大学(教育研究)とか ,親馬鹿とか,和歌山とか,とか,とか.

修士論文・卒業論文執筆へのアドバイス(2007年度)

昨年は昨年でたくさん書いたのですが…

今年の学生の原稿を見て,またいろいろ出てきました.

  • 第1章の中で,目的を明確にしましょう.その目的のもとで,実施したことを書いていきます.実施したことを並べて「本研究の目的」に代える,というのはダメです.
  • 図表は,図表番号を使って本文で1回以上言及します*1.例文:
    • 図xは,……である.
    • ……を図yに示す.
    • ……(図z).
  • 「我々は」は使わないようにします.自分の研究(修論・卒論)に限ったことなら「本研究では」とします.研究室内で,研究している人々の間の決め事などなら,「筆者の属する研究グループでは」という表現を使いましょう.
  • 自分がしたことは能動態で書きます.自分の手がけたシステムが実行・処理することも,能動態で書きます.他の研究者らが実施したことは,原則として受動態にします.
  • 従来手法と違う方法を採るときは,優位性(メリット)だけでなく,従来手法との互換性も説明しましょう.
  • 我々の研究室では,データ管理が命です.データをDBMSで管理しないのなら,しないことを,なぜしないのかと合わせて明記しましょう.
  • 日本語とカッコの間は空白を入れず,英単語と開きカッコの間,閉じカッコと英単語の間には空白を入れます*2.「HTML(Hypertext Markup Language)」は,印刷時に詰まった感じがします.「HTML (Hypertext Markup Language)」とします.
  • 「あいまい」は,vagueにもambiguousにも解釈される曖昧な語*3なので,それが最適な表現でなければ,使わないようにします.
  • 一つの文の中で,主語と述語は近くに置くと教わりましたね.一つの節の中で,問題点と解決策を挙げる場合も,なるべく近くに置きましょう.
  • 表のフォントは本文と同じにします.Excelで書いてWordに貼り付けるとき,ゴシックになりやすく,印刷すると表が目立つ不自然なものになりがちです.
  • 計算は,具体例から始めるのではなく,x, yなどの文字を使って,まず数式として定義(定式化)します.その次に,具体的な値をその式に当てはめて計算します.
  • ソフトウェアを参考文献に入れる際,LAMP,LAPPは入れないように.ちょっと特殊なソフトウェアやライブラリを挙げておきます.

*1:「以下の図」という表現は,論文作法としてまずいです.というのも,本文と図表の配置は別だから.Wordで書くと,本文に図表を交えるのが当たり前になっていますが.

*2:開きカッコと英単語の間,英単語と閉じカッコの間には,空白をいれません.

*3:英辞郎で引くと差がなさそうなので,補足.自分の知る限り,vagueは「明確に定められない」,ambiguousは「複数の解釈が取り得る」という区別があります.ついでに,これも自分の知る限り,vagueの意味で日本語を書くときは「あいまい」,ambiguousは「曖昧」と書き分けられていることが多いです.なるほど,ひらがなのほうが(特に前後にひらがなが加わると)一見して分かりにくく,漢字だと語句はすぐ分かるなあとも感じます.