わさっきhb

大学(教育研究)とか ,親馬鹿とか,和歌山とか,とか,とか.

面接心得〜配属活動を通じてメッセージを伝える

似たようなことで,ゼミの面接があります.私のゼミは八〇人くらいが面接を受けに来ます.受け入れ上限が一五名で,うちが第一志望ではない学生もいますから,面接の段階で,とりあえず二〇人くらいに○をつけて絞り込むことになる.どういう基準でそれをやるのか.
(略)
わかりますよね,私の基準.実際にゼミを始めたときに,ゼミの対話的,互恵的な雰囲気を壊すような学生ははなから採らないということです.その学生が個人的にどれほど知力に優れていようとも,ゼミの全員が気分よく勉強する妨げになる可能性があれば,私は採りません.
(街場の教育論,pp.209-210)

絞り込みが必要な研究室とは,うらやましい.
自分が複数人で,また単独で,研究室の配属面接に関わってきた限りでは,競争率1.6倍くらいが最大です.学科全体で見ても,例年2倍強くらいまで*1.学生は希望を自由に出せますので,極端な話,全希望者が一つの研究室を希望することもあり得ますが,Webの登録システム上で希望状況が見えることもあり,突出した希望者数の研究室というのができにくくなっています.
上の略のところには,学生から見れば,極めて瑣末な理由で「ペケ」をつける例がいくつも挙げられています.後ろでは,進学クラスや実社会と比較して,ゼミの位置付けと,来てもらいたい学生像を提示しています.
私も,自分で研究室を運営するようになってからの研究室配属については,開示してきました.面接は個別に行い,学生ごとに,その時点での能力と関心,私との適性を意識し,自分の研究室でどれくらい技能を伸ばしてくれそうかを見積もります*2
そのとき,「対話的,互恵的な雰囲気」は,自分にとっては,Javaでプログラムを作れる*3というのと同じくらいに,学生には期待していません.
「このまんまで就活に行ったら,落ちまくるやろな」と思わずにはいられないような面接も,ありました.そういう学生は,配属後にその個性を生かせるか,あるいは矯正できるかを考えます.配属の時点で切り捨て材料していると,配属者がゼロになる…というのは冗談ですが,ともあれ,そこだけでは加点も減点もしません.
しかし,研究室配属面接は,就職の面接と同じくらい,面接者には採否の不合理さを味わうことになる場であり,配属/就職された後で,相互に気持ち良く協働できかどうかを重要な観点として,面接を行う,という点には同意します.内田樹ワールドに取り込まれつつあります.
(翌日に,日本語表現のまずいところをいくつか書き換えました.)

*1:一度だけ,5倍近くというのがあったかな.

*2:どこの本だったか漫画だったか,「伸びしろ」という表現を見かけたことがあります.と思って調べると,伸びしろ - すいません、野球で「伸びしろがある」ってどういう意味ですか?... - Yahoo!知恵袋というのを見つけました.

*3:Javaプログラミング科目は,学科2年の必修科目になっているので,みな学習はしています.ちなみに,Javaができると言う人には,他にできる言語を尋ねるつもりですし,Javaは苦手という学生には,なるべくオブジェクト指向を意識させないような,システムの設計構築を検討します.