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数学名作問題集

キュートな数学名作問題集 (ちくまプリマー新書)

キュートな数学名作問題集 (ちくまプリマー新書)

筆者の印象では,数学は一般に,我慢強い人が得意で,感受性豊かな人ほど落ちこぼれる傾向にあります.それは,味も素っ気もない題材にどのくらい忍耐力があるかが成果につながるからでしょう.この問題集は,後者の,感受性豊かなあなたのために作った問題集なのです.だから,本書の目的は,素早く解答の道筋を見つけられるようになることでも,正確に計算を実行できるようになることでもなく,数学のそれぞれの素材特有のキュートさやステキさを実体験してもらうことです.
(p.8)

として,キュートな問題,ステキな解法の問題を,16問(お試し問題を含む)ずつ紹介しています.必要な数学の知識は,中学生までです.中学の数学の代表例と言えば,三平方の定理ピタゴラスの定理)ですが,そのほかに,円周角の定理をはじめとする,円関係の知識を使って求める問題をよく見かけました.
気になった問題をいくつか.安全な航海(1-8)は,円周角の定理の活用のほか,道具*1があれば実際に船上で試せそうという点で,そのキュートさに納得です.立方体の切断(2-3)で,中学の数学の教科書の裏表紙裏あたりに,正六角形を含むいくつかの形状が描かれていたという記憶があるのですが,どうがんばっても正五角形が作れないことのシンプルな説明に,脱帽です.正方形分割(2-4)は,何を未知数と置けばよいかが鍵になる(最小の2つの正方形の辺の長さだけで,残りの辺の長さが表される)わけですね.2-7の図5は,1辺の長さが4の正三角形を描いて,3つの角(の長さが1の正三角形部分)を取り除いた形のほうが,計算ミスの可能性が減りそうです.2次方程式ゲーム(2-8(2))は,第2部の中で唯一,解答を見る前に解けた問題です.
こういう「解きがいのある問題」+「なるほどの解説」を,自分が関わっている範囲での,Cのプログラミングで,手がけたいものです.
ストックとして,これまで授業のために作ってきたソースコードがあるのですが,それらを洗練させるのが大変です.また「コード」を重視するのか,そのコードに至るまでの「アイデア*2,あるいは他の問題にも適用可能な「考え方」を重視するのかは,重要な考えどころです.あ,いや,美しいコードで15問(とお試し1問),考え方が巧みな15問(同)を出すという手もありますか.

*1:2本の棒は,鉛筆でもいいわけですね.

*2:どうでもいいことですが個人的には,特に規制がない限り「ディジタル」「アイデア」と表記し,「デジタル」「アイディア」とはしません.後者はなんでだろ?