「おう,すまんの」
「雨,すごいね〜」
「運転,代わるぞ」
「あったり前やん」
「はいよ.うちの子は,来てへんねんな」
「うん,おうちに居させたで.おばあちゃんが,見てくれてるわ」
「しかし参ったねこれ…」
「バス,よおけ人が待ってんの?」
「まあ,普段は徒歩とか原付とかの人も,バス使うわけやしね.残念なんは,バス停へはあとからやってきたのに,後ろにつかんと,前のほうに入り込んでしまう人がおんねんな」
「あれれ…」
「雨やから増便してくれる,ってなもんでもないし.んで,迎えに来てくれえって電話したんや」
「車も大変やってんで!」
「そっか」
「三叉路やら,市役所の前で混んでたりとか,あとね! 高架*1を昇りきったところで,なんかみんな左車線に行ってるなあと思って近づいたら,事故車が止まっててんで」
「なるほど,それでえらい時間がかかったんやな」
「ほら,ここ」
「あれ,まだ車,止まってるなあ.警察も救急も来てなさそうやし」
「前,赤信号」
「ああほいほい.…へえ」
「どしたん」
「隣の車線に,教習車や.こんなときに*2教習とは,チャレンジャーやなあと」
「すごいね…」
「ところでいつもの道で帰ったらええんか?」
「やめといたほうがええよ.混んでるから」
「ん.ほなナビで検索…」
「そんなんせんでもええって.あたしが案内するから」
「ええっと,こっからの別のルートということは,あっちの通りから,左に曲がってああ行ってこう行けってことかな」
「そうそう」
「んでどこ曲がるんやったっけ?」
「どこって?」
「交差点」
「あ,忘れた.けど近づいたら分かるよ」
「ほお.そやなあ,もし道に迷ったら…」
「市内やねんから,迷わんって」
「うちの子に聞くか」
「聞いてどうするんよ」
「自宅に電話してやな…『うちの子よ』『あ〜』『よし元気が出た,まっすぐ帰るぞ』みたいな」
「それって答えになってるの!?」
「俺的には」
*1:正確には,wikipedia:跨線橋あるいは跨線道路橋.