Presentation Zen: The Video (DVD) (Voices That Matter)
- 作者: Garr Reynolds
- 出版社/メーカー: New Riders Press
- 発売日: 2009/06/11
- メディア: DVD
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「動機」「いつ」「誰に」「準備」「直前」「本番」「事後」の順に,説明したいと思います.
動機
日常,研究室の学生発表を見聞きしながら,そして自分自身も,学会などでの発表や講義資料の取りまとめで,どのようにPowerPointファイルを作り,そして話せば,聞く人にとって理解してもらい議論がしやすくなるかについて,思いをめぐらせています.
そんな中,『プレゼンテーションzen』と,上のDVDを知りまして,勉強しようと思い,発注をかけました.ちなみに『Presentation Zen: Simple Ideas on Presentation Design and Delivery (Voices That Matter)』は,購入したとして,読まれる機会が少ないと考え,買いませんでした.
本を読んでから,ひとりDVDを観て,よしこれは研究室の学生にも見てもらう価値があるぞ,ひとコマとって,上映会をしよう,と意気込みました.
その前に,実施目的を設定しておきましょう:
- 洗練されたプレゼンテーションの心がけを学ぶ
- 英語のリスニングの機会を持つ
いつ
入手したのは9月でした*1.ただ,10月は自分の仕事があれこれあるし,3年生も入ってきたばかりだしということで外しまして,機会をうかがっていました.
そうすると,毎週金曜の4限に,DBゼミをするんだけど,11月27日は,私以外の教員がご出張で,私一人では(上回生の協力を得ても)十分指導ができる保証がないので,この日にはDBゼミをしないことになりました.
ということでこの日に決定です.
誰に
まずは「研究室ミーティング」の一環としての実施を検討し,2週間前にメールを送りました.たしかあのときには「DVD鑑賞」と書きました.
念のため,研究グループの先生方に,こういうことをするのでよろしくとメールを書こうとしたときに,そうだ,そちらの研究室の学生さんにも入ってもらいましょうかと考えて,メールに書き加え,「せっかくの機会ですのでよろしく」という返事を得ました.
ただ,2つの研究室への同時アナウンスは,勤労感謝の日を含む連休の翌日,すなわち実施の3日前となりました.うちの研究室は授業がない限り強制,私の一応コントロールの及ばない研究室の学生さんには,自由参加です.その日から当日まで,ぽろぽろと,参加希望のメールが届きました.
この最終段階では「DVD視聴」という言葉を用いました.「DVD上映」とはしませんでした.私も,観て学ぶ側であることを,忘れないようにしたかったからです.
準備
私は本を読んで簡単な書評を書いて,それからDVDを観たという流れで,内容の面白さをそれなりに理解したのですが,学生はそういう予備知識がなく,また英語のリスニング力も不明です.
そういえば入試問題の英語(リーディング)ではしばしば,長文の後に単語の意味を書いてあったりしましたし,大学3年のときに受けたお偉い先生の講義(もはや英語でない)では,開始時に,他の先生の手による講義メモをもらったのでした.
今回も,内容理解を助けるようなメモを作って,視聴の直前にでも配付すべきでしょうね.
ということで2回観て*2,分かりにくそうな単語を抽出し,辞書を引いて,良い訳語がなければ本を開いて,対訳を作ってみました.(研究室でこれを目にしたみなさんへ:実際の配付資料に,いくつか加筆訂正しています.)
- preparation 準備(スライド作りの前にすること)
- delivery 本番で話すこと,実施
- restraint 制約,自制
- slideument = slide + document
- handout 配付資料
- epidemic 病気の流行
- Zen 禅
- W.O.M. = word of mouth, クチコミ
- stickiness 持続すること
- simplicity, unexpectedness, concreteness, credibility, emotions, stories 順に,単純明快,意外性,具体性,信頼性,感情に訴えること,物語性.頭文字をつなげるとSUCCESs.途中に現れる本は『Made to Stick: Why Some Ideas Take Hold and Others Come Unstuck』.http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20090423/192881/も参考になる.
- storyboarding 絵コンテ作り
- naked 裸の(「ネイキッド」と発音する)
- grid 計算機の回線(Get off the grid = Go analog,計算機を使わない)
- amplification 増幅
- signal to noise ratio 信号対雑音比,SN比
- bullet point 箇条書き
- superiority 優れていること
- memorable 記憶に残る
- work-life balance 仕事と生活のバランス
- rule of thirds 三分割法
- the big four 四大要素.アガサ・クリスティの推理小説が元ネタらしい
- contrast 対比
- repetition 繰り返し
- alignment 配置,整列
- proximity 近接
- close 近い(「クロウス」と発音する)
- pro = professional
- audience 聴衆
- high ground 優位な立場
- contribution 貢献,寄与,寄贈
- no connection, no contribution つながりのないところに貢献なし.no music, no lifeと同様の構文
- barrier バリア,障壁
- up to you あなた次第
- toastmaster 宴会の司会者
単語と別に,気になったことを.
- identifyが「デネファイ」に聞こえる.
- 「桜」の漢字が現れ,梅にウグイスっぽいシーンが出るが,桜の花らしい.
- 自転車販売の棒グラフが一部おかしい.「4010」と「4050」の棒の長さにけっこう空きがあり,後者は「4500」の語記かも.著書と数字が違っている.
- The 1-7-7 ruleは,7語で7項目としているように思いきや,1項目だけ6語.
これをWordファイルにして,印刷…の前に,分量が1ページ半で,2ページ目の下半分がぽっかり空いているのが,気になりました.
DVDの中に,目次と,チャプターごとの時間が書かれていた紙をはめ込めば,よさそうです.さっそくスキャナで取り込んで,色を反転させてからグレイスケールにして,これをWordの文書に貼り付け,それから印刷にかけました.
直前
当日です.
使用する機材ですが,使い慣れたWindowsのノートパソコンを使うことにします.プレーヤも,GOM Playerでいいでしょう.
スクリーン映写をどこにするか…学生室でできるか,DBゼミの部屋にしようか,ぎりぎりまで迷っていました.
それはさておき,3限は,とはゼミです.学生室で,私を含め一通り発表を終えた後,次回のテーマを決めるために部屋を見渡したところ,この部屋で学生を集めて映写するのは手狭と判断し,少し離れたゼミ室を使うことを決めました.
それともう一つ,これだけの人数になると,スピーカーの手配も,欠かせません.さすがに自室のスピーカーを持ち運ぶわけにいきませんので,昼休みに,学生室とゼミ室の,隅で眠っている各種機器を漁り,手ごろなのを見つけました.
本番の10分前に,荷物を持って出発の,最終確認.一人で持ちきれませんので,いくつかは学生に頼りました.
本番
出席をとらなかったのですが,配付資料の残り枚数をあとで数えたところ,私を含め19人の参加となりました.
実は今週に入ってから風邪気味で,すんませんが一人だけ,何回か,のど飴に手を伸ばしてなめておりました.
事後
Garr Reynoldsさんの「ガンバッテクダサイ」でもって,おしまい.
立ち上がる学生から「聞き取りやすかったよなあ」という声がありました.
とりあえず,何か言っとこか:
「おつかれさんでした.これからの,分かりやすいプレゼンに役立ててください.なお,出席はとりませんし,感想などは求めませんが,観たことをブログだとかTwitterだとかに書いてくれると,あとでこそっと見してもらう予定にしております」
それでTwitterのほうは,フォローしている人からつぶやき2つ,「@takehikom」つきで書いてくれたのが1つ,それと別に1人はtwitter.comから検索して発見.それぞれ@つきで返信しました.
これからも毎年今くらいの時期に,プレゼンだとか,コミュニケーションだとか,研究だとか科学技術だとかについての面白い英語スピーチを上映してみたいなと,思うようになりました.
*2:1回はWindowsのGOM Playerで,もう1回はUbuntu 9.10の動画プレイヤーで.