わさっきhb

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とはゼミ コメント(2)

11月13日に実施した,第2回の「とはゼミ」の中で言ったコメントです.
なお,「とはゼミ コメント(1)」と題するエントリは書いていませんが,とはゼミ,始動 - わさっきの初回状況とお考えください.

列挙する前に,個数を言う

3つ以上の事柄を列挙するときには,「〜が3つあります」のように,先に個数を言ってから,具体的な名称だとか説明だとかをするようにしましょう.
その一言で,聞き手は,「3つあるんだ」と理解できるのです.
文書に「〜が3つある」と書くべきかどうかは,まあその都度,検討するのがいいでしょう.今回は,A4で1枚以内という分量の制約がありますし,書かないほうがすっきり見えるかなと思います.

形容詞+「です」を避ける

資料に「少ない」とあって,話すときに単純に「です」をつけていましたが…
形容詞プラス「です」は,よい日本語とは言えません.
言い換えられるようにしましょう.
「少ないです」と言いたいときは…「多くありません」とするのがいいでしょう.
とはいっても逆に「多いです」の代わりに,「少なくありません」と言ったら,間違いです.「多い」と「少なくない」は,数量表現として別の意味になるからです.
そうですね,「多く見られます」にすればいいかなあ.
文の終わりは,こういう言い換えをできるようになりたいものですが,文の途中で,形容詞に「です体」を入れたいときは,そこまで考えなくてもかまいません.といっても,例えば「大きいですが」ではやはりよくない日本語で,人によっては耳障りともとられるでしょう.そこは「大きいのですが」とするだけで,自然になります.

具体的に・一般に

何気ない修飾語に注意しましょう.
「具体的には」とありますが,本当に具体的な説明をしていますか?
「一般に」と書いていますが,本当に一般的ですか?
前後関係から,それらの言葉の使い方が正しいとしても,文書を引き締めるという点から,書かないほうがいいときがあります.
副詞のほか,接続詞にも注意したいものです.ちなみに「具体的には」は,文法的には副詞句ですが,前後をつなぐという点では,接続詞扱いにしてもいいでしょう.
接続詞は,読み手が前後関係を確認できるというメリットもありますが,多すぎると,内容よりもそっちに目が行ってしまう危険性があります.
「順路はこっち」という標識が,1mごとにあるような道案内は,おかしいですね.
そういう「標識」,そして修飾語や接続表現は,効果的な配置を心がけましょう.ある場合とない場合とで,どちらが読みやすいか比較して,書くか書かないかを決めればいいのです.

入口以前

うーん,書かれている一つ一つというよりは,話の進め方に,失敗しているような.
ここに書いてあるのは,「商品を手にした人に対して,それをどのように使えばいいのか,それでどうやって快適生活を送れるのか」の説明ですね.
ですが,今回のお題で,私があなたに期待したのは,「商品を直接手にしていない人に対して,あなたはそれをどのように使っているのか,そして実際に快適生活を送っているのか」の宣伝なのです.
ゼミ用の文書とはいえ,これがいつ誰に読まれるのかを意識すれば,「入口に立った人のための説明」よりも,「将来的に入ってくる人のための説明」のほうが,出席者のためになるんですよ….
こういった戦略も,立ててみてください.そしてあなたは,そういう配慮ができる人だと,信じています.

同音異義語に注意

書き言葉で熟語を使うのは,字数を減らして文章全体を引き締める効果があるので,積極的に行うべきなのですが,話すときには,そのままでいいと限りません.とくに,その熟語に同音異義語があって,そっちのほうがよく知られているというときは,言い換えるほうがいいでしょう.
話してくれた中に,ふたつ,ありましたね.
一つ目は「従事している」です.同音異義語は,「十字」(十字に切る仕草をする)ですね.まあ「十字している」という言い方はないのですが,それでも誤解の余地を減らすよう…「携わっている」と言えるといいでしょう.
もう一つは「広範な」です.「な」が落ちると,前半後半の「後半」になってしまいます.ということでそこは,「広い」と言いたいものです.
こういったことの対策は,そんなに難しくありません.黙読です.あなたの頭の中では確実に話す声が聞こえるように,言葉を1個1個,確認していくのです.

熟語なら漢数字

「XはYの1種で」とありますが,ここの「1」は,漢数字の「一」としてください.
「一種」が熟語だからです.
必ずそう書かないといけないのかというと,決してそうではなく,運転免許などのように,種別を書くときには「1種」「2種」などとするのがいいこともあるでしょう.
もう一つ,算用数字か漢数字かで意味が変わってくる有名な言葉に,「いちぶ(1部,一部)」があります.
「資料を1部,コピーしてください」と「資料の一部をコピーしてください」では,要請されているものが違いますね?
「一部をコピー」のほうの「一部」は熟語です.コピーするのは資料全体ではなく部分的ですよということですね.
ちなみに「1部コピー」の「1部」は,数と単位で,分量を表す修飾語となります.2部でも3部でもない,部数は1部だということです.それと,何十枚になっていても,枠囲みなどの書き込みがなされていても,そういう中身に立ち入らずに書類は全部コピーせよ,という意味合いも,含まれていますね.