わさっきhb

大学(教育研究)とか ,親馬鹿とか,和歌山とか,とか,とか.

ポン菓子

  「さて居間で腰を落ち着けようかな…あれ,うちの子は?」
「ここよ〜」
  「ん? …おお,そこで座って,おいしいもんもろてんのんか?」
せやねん.ポン菓子な,昨日買うてきてんけど,これこの子にええなあと思って」
  「ふむ」
「自分の指で持って食べる練習な.おかゆなんかでやったら,手が汚れるやろ?」
  「なるほどなあ.あんまし汚れへんし,大きさも固さもほどほどやなあ」
「ちょっと見といたってくれる?」
  「あいよ.….うちの子よ,どんな味か,ひと粒ちょうだいや(皿から1粒取る).…ふーん,薄味で,ええ感じやな」

  「ん? この子の手が止まったぞ.じっとこっち見てら」
 「ふあっ!」
  「えーなになに,このポン菓子はあたしのやから,勝手に食べるなと」
「この子,食べ物に執着するからね」
  「悪かった悪かった.….あれ,ポン菓子,ぽろぽろこぼしてるんかいな?」
「拾ちゃって〜」
  「わかったよ.ああ,結構あるなあ.ホコリとかついてへんかなあ.まあ10粒取ったら,そのうち1粒くらい俺の口の中に入れても,この子,気にならんよな…うお,また見とるし」
「変なことしてたらあかんで」
  「….うちの子よ,パパが今とったポン菓子,入れるから,ちょっとお皿を貸してくれるか…うわ! えらいことしてくれたな!!」
「どしたん?」
  「俺からお皿を取られまいとしたんか,この子が皿を持って,後ろにばしゃっとやってしもたんや」
「ポン菓子は?」
  「全部飛んでもたわ.しゃあない,拾うよ…」