これから何回かに分けて,小さいころによく遊んだ「ペコ回り」を文字として残しておきたいと思います.これは,1セットの将棋盤と駒を使って,最大4人で行う,スゴロクのような遊びです.
一般にはwikipedia:まわり将棋と呼ばれます.その「うちの近所ルール」です*1.記憶に基づいているので,実態と違っているところもあるかもしれません.
なぜ「ペコ回り」という名称なのかですが,ペコは歩兵のことかなと思います.歩兵は「ひょこ」とも呼ばれ,これがなまって「ペコ」になった,という考え方です.「回り」については次回以降で詳しく述べますが,9×9の盤面の最も端のところをぐるぐる回るのが,このゲームの基本となります.
参加人数について,1人ではほぼ無意味です.2人でも寂しいです.3人ならなんとかやれますが,少し不公平感も出ます.4人欲しいところです.
駒ですが,安物でいいので,木製の駒を使いたいところです.厚みがあり,角張っていることが重要です.「立てる」ことが,このゲームに面白みを加えるからです.
盤については,折りたたみ式でも差し支えありません.将棋教室で,六寸盤なんかを使ってこのペコ回りをしたら,きっと先生に叱られるでしょう.
駒の使い方ですが,金将の4枚は,サイコロで言う出目を求めるのに使います.残りの駒が,スゴロクのコマに相当します.最初はみんな歩兵で,昇格や降格*2によって,駒を取り替えていくのが,このゲームの面白みの一つです.私の環境では,こんな感じでした.(1月19日:角将→角行)
ランク | 駒の名称 | 略称 | 備考 |
---|---|---|---|
1 | 王将 | 王,王さん | |
2 | 竜王 | 竜 | 飛車のひっくり返ったもの |
3 | 飛車 | 飛 | |
4 | 竜馬 | 馬 | 角行のひっくり返ったもの |
5 | 角行 | 角 | |
6 | 銀将 | 銀 | |
7 | 桂馬 | 桂 | |
8 | 香車 | 香 | |
9 | 歩兵 | 歩 | 初期状態 |
10 | と金 | と | 歩兵のひっくり返ったもの |
11 | - | - | 歩兵を横に立てたもの |
12 | - | - | 歩兵を縦に立てたもの |
13 | - | - | 歩兵を斜めに立てたもの |
以下,駒の名称は原則として略称を使います.ちなみに金将の略称は「金」です.銀,桂,香にも裏面がありますが,ペコ回りでは使用しません.
だれかが王さんになって,まだゲームを続けるときは,とりあえずそのまま進めます.王さんが昇格すると,王さんの上に歩が乗ります.そしてその歩のランクを上げていき,王さん+竜王の状態のときに昇格したら,さすがにゲームセットです.王さん+歩の状態での降格は,ただの王さんです.
降格について,「歩兵を斜めに立てたもの」からさらに降格となったら,これはこれで惨めすぎるのでゲームセットにするか,そのプレイヤーだけ除外するかですね.そうなったことはありませんが.
ところで,将棋の駒というと,飛車*3・角・王(玉)は2枚ずつしかありません.プレイヤーはそれより多いわけで,どうするかというと,「足止め」になります.すなわち,銀のプレイヤーが昇格できる状態になっても,角が2枚とも使われていたなら,銀のままです.例外的に,銀の人と角の人が戦争をして,銀の人が勝ったら,銀と角は入れ替えです.飛車や王さんについても同様です.
以下は,次回以降のインデックス兼自分用メモです.
- ペコ回りとは(2): 駒の進め方
- ペコ回りとは(3): カドの特性
- ペコ回りとは(4): 変則的な進め方
- ペコ回りとは(5): 死に
- ペコ回りとは(6): 戦争
- ペコ回りとは(7): 行動の流れ
*1:wikipedia:ノート:まわり将棋も,興味深いですね.いくつかは,うちでも採用していました.
*2:「昇格」と言わず「上がった」と言っていたように記憶しているのですが,スゴロクなどで言う「アガリ」と区別するため,昇格・降格を使うことにします.降格については「下がった」ではなく「落ちた」でした.
*3:「飛」は言いにくいので,「ひしゃ」と言っていました.原則として地の文では省略せずに「飛車」と角,じゃなかった,「飛車」と書くことにします.