わさっきhb

大学(教育研究)とか ,親馬鹿とか,和歌山とか,とか,とか.

2次の数学とセンターの英語

工学系の学部学科に入りたいと,勉強をしている,受験生へ.
各大学が,多彩な入試方法を実施しています.私の学科であれば,以下のものがあります*1

  • 一般入試・前期日程
  • 一般入試・後期日程
  • 推薦入試
  • 私費外国人留学生特別入試
  • 第3年次編入学の推薦
  • 第3年次編入学の一般

受験生のみなさんが,ここに書いたすべての方式に対して受験できるわけでは,当然,ありませんが,こういったさまざまな方法で選抜がなされており,したがって入学する学生の顔ぶれも,バラエティに富んでいるんだと思えばいいでしょう.
さてここで,国公立に入ろうと,試験勉強をしている,高校3年生と,浪人生と呼ばれる方々のために,アドバイスをしてみたいと思います.とはいっても,私の所属(大学・学部・学科)の公式なものではなく,個人的な意見であることにはご留意ください.
理工系に分類される,大学の学部学科*2に入ることができ,言われるがままに勉強して研究して,専門分野も趣味のことでも「楽しさ」を理解するようになって,現在,感じるのは,受験勉強が,今を生きるのにじゅうぶんに役立っているということです.
とりわけ有難みを覚えるのは,2次試験対策の数学と,センター試験用の英語です.
センター試験の英語の問題は,特定の単語を知っていれば解けるものから,問題文や選択肢をしっかり読み込まないといけないものまで,いろいろです.余談ですが,私が受けたときと比べて,近年は,コンピュータ関連の表現が入っているなあという印象もあります.
センター試験の英語の対策をしていると,「語彙を増やす」だけでなく,「言い換え方法を知る」ことができます.どちらも,英語に限らない,人間同士のコミュニケーションをするために不可欠な要素です.語彙が多ければそれをベースに会話が効率良く行えます.「打てば響く」です.そして,人間関係を強くすることにもつながります.言い換えの技術は,ある物事を,知っている人から知らない人へ説明するときに,威力を発揮します.
数学については,解を求めるまでの過程を,きちんと書けるようになってもらいたいものです.私のころも現在も,理系の数学の入試問題は,簡潔な問題文を読み,大きな白地の答案用紙の上に答えを書くスタイルです.答案用紙という空間上の制約,そして当たり前ですが試験時間という時間上の制約,また特定の問題だけを100%にするのではなく,いくつかの大問がある中で「点数を稼ぐ」必要がある,という条件*3のもとで,答案をつくる必要があります.
問題文をよく見て,使えそうな公式や定理を頭の中から探して適用します.その段階では,問題文の白紙部分(「計算用紙」をもらうかもしれませんが)に書いて検討することもあるでしょう.見通しが立ったら,解答用紙に,導出過程を記していきます.そして全部書けたら,ステップごと,また全体として,記述内容が正しいかをチェックします.
このようにして数学を解く流れは,大学に入って,工学系…というのが広すぎるなら情報分野(情報工学情報科学など)…で問題を解くときにもそのまま使えます.数学的要素を含む専門科目で,合格点を取るための勉強は,「何をしないといけないかを見定め」「使えるものを選択・適用し」「相手(採点者)に伝わるように文章化する」ことの訓練を,授業中か試験前かはともかくとして,重ねることになるでしょう.情報分野では,微積分や線形代数*4を一切使わない研究室もあります…私の研究でもほとんど使用しません…が,それでも,これからどんな研究をしていこうか,そしてどんな研究成果を得たかを,ときには論文として,ときにはPowerPointの発表資料として,取りまとめたり,学生に取りまとめさせたりする際には,受験数学的思考というのが大事だというのを,痛感しているのです.
まとめ:受験勉強は,希望する大学に入学するための手段であると同時に,大学に入ってからの生活を充実させるための準備でもあります.英語の言い換え技法,数学の解の組み立て方法をたくさん学び,勉強を楽しんでください.

*1:http://www.wakayama-u.ac.jp/admission/entrance/schedule/index23.html

*2:私が入学した大学は,今いるところと別です.しかし,今いる学部でドクターコースまでを終え,教員になり,卒業生の視点をもって学生指導に当っている方も,何人かいます.

*3:外から与えられる制約を「コンテキスト」と言うことがあります.英語ではcontextと言い,受験英語ですでに学んだかもしれません.コンピュータの分野では,context-free grammarというのがあります.当学科の学生は,1年後期に教わります.なぜcontext-freeという言い方をするのかまで学べば,英語もコンピュータも,楽しいのですけどね.

*4:いずれも,工学系の大学1年で間違いなく学ぶ数学科目です.「微積分」は「微分積分」「解析」とも呼ばれることがあります.「線形代数」は,受験生のみなさんにはなじみのない言葉かもしれませんが,ベクトルや行列を含む数学的な構造について理解を深めます.