「あなた,またメガネを外して食べるようにしたん?」
「いやなあ,遠くのンを見るときには間違いなく必要なんやが,テーブルくらいやったらいらんし,ちょっと何か狂うねんな」
「度が?」
「いや,幅やと思う.顔,大きなったんかなあ」
野暮な解説:ある日,起きると,テーブルの上に置いてあったメガネが,娘によって分断され,修復不可能な状態になっていました.さっそくメガネ屋さんに行ったのですが,新しいのが出来上がるまで,数年前のメガネを我慢してかけているのでした.
「さてうちの子よ,パパのメガネはどこかなあ…ってこっちが言うてる最中ずうっとテーブルに置いたメガネのほうを見とるし」
「この子にそんな聞き方しても,すぐに分かるンやで」
「ふむぅ.ん,なんや,喜んでイスから降りて,こっちに来おったぞ」
「相手しちゃって」
「せやなあ…焼き魚をほじって,食わすか」
「パパぁ」
「はいはい.ほりゃ!」
「(もぐもぐ)」
「うまいか? も一回!」
「(もぐもぐ)」
「ごめんよ,米粒くらいの大きさの身ぃしかやれんで」
「かわいいかわいいおさかなさン♪」
「そこでその歌か…この子,どこでも生きていけるんとちゃうかな」