わさっきhb

大学(教育研究)とか ,親馬鹿とか,和歌山とか,とか,とか.

唯一の「正解」を求める時代は終わった?

先生はどれが最もよいか言わずに授業を終えた。唯一の「正解」を求める時代は、終わったと思うからだ。

http://www.asahi.com/national/update/1231/TKY201012310282.html

好感が持てません.実施内容というより,記事の取りまとめ方に引っかかりました.昨年話題になった,「白熱教室」という言葉を使いたかったのでしょうけど.
何を「正解」とするかは,設問文や,何を答えさせる(答えとして表出してもらう)か,それまでどんなことを学んできたかによって,異なります.11月以来,「しき」をマルバツの対象としていなければ,私自身,あんなにエントリを作っていないのです.ある時点からの私の焦点は,「正解を唯一にする」ことではなく「正解になり得る複数の解答案から一つに絞り込む」ことに当てていると言ってもいいでしょう.
それから,一つの計算に複数のやり方がある問題については,私が小学生だったときにも経験しています.数字そのものまでは思い出せないのですが,構造としては,357×204といったタイプの,途中に0が入った,かけ算の筆算です.この数値を使って,具体的に書くと,

 357
×204
――――

 204
×357
――――

のうち,どちらが計算しやすいですか,という問題です.理由を文字にするだけでなく,授業中に意見を言ったような記憶もあります.そして一方がよいという結論は出ませんでした.
それぞれにメリットがあります.前者は,桁どうしの足し算の数が少なくて済みます.後者は,かけ算(204×7,204×5,204×3)をする際に繰り上がり処理を考えなくて済みます.
もとの記事に戻りますが,試み自体は興味深いし,児童の学ぶ力を伸ばすいい手段だと思います.とくに「●の数え方」について,式を書く子と説明する子を別にする*1という試みは,研究室でも実施してみたいものです.先日,

*5:「思いついた,一つのことしか考えられない子」「自分なりに強い信念・根拠を持ち,一つにこだわる子」「さまざまに考え,一つを選んでいる子」は,少々対話をすれば分かります.

時速1kmで3km歩く道のりの時速4km分の道のり - わさっき

と書きましたが,ここに「他の方法や結果から学べる子」を加える必要があることに,気づきました.

*1:ただ,この問題ついて,式でないといけないのかは気になるところです.例えば,それぞれの●に番号を振るという解き方が考えられます.振り方にも何通りかありますし,でたらめに振って,振った子自身が説明できないということも,起こりそうです.