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二重数直線,比例数直線,数直線

「二重数直線」は数教協の「量の理論」を源泉としているものではないようです(ちなみに、おもな研究発表の場は日本数学教育学会みたい)。「複線図」とか「対応数直線」とよばれているのもこれかな? あと、もしかしたら「関係図」「矢印図」とよばれることもあるのかもしれません。

http://math.artet.net/?eid=1421606

「二重数直線」は,個人的に「比例数直線」として理解していたものと,同じものに思えます.
改めて調べてみました.

2)「数直線」は、「比例数直線」「関数尺」などの名称があるが、ここでは、数直線という言葉を用いる。また、図的表示も直線が2本のもの、1本のもの、テープ状になっているものなどもあるが、2本の数直線を用いる。

国立大学法人 山梨大学 教育学部・大学院教育学研究科

《算数解説》*1を読み直すと,この意味の数直線の図が,p.166, p.169, p.195にありました.
ついでに,PDFファイルに対して「数直線」で検索をかけると,p.58, p.61, p.63, p.98, p.101, p.102, pp.112-118, p.130, p.131, p.143, p.166, p.167, p.169, p.172, pp.191-195, p.213で見ることができました.ただし,各学年の内容に入ったp.61から,p.166より前までのすべてと,分数(約分)に関する説明のp.172は,1本の数直線を言及していると思われます.
小学校の学習指導要領においては,1本の数直線も,(小数・分数の乗除算をサポートするための)2本の数直線も,ともに「数直線」と呼んでいるわけです.
Googleで件数を調べたところ,"数直線"は約120,000件,"比例数直線"は約278件,"二重数直線"は約63件,"2重数直線"は約2件でした.

二重数直線上がうまく扱えないと、問題の数量関係を正しくとらえていないとみなされがちのようですが、本当にそうなのかな??というのが私の疑問です。

http://math.artet.net/?eid=1421606

これは……

大切なことは,使う道具の意味が子どもたちにわかっているかどうかです.子どものイメージがわくなら,古くから伝わる比例数直線をやったっていいと思います.比例数直線は学習指導要領を作成する方たちが,水道方式の倍概念のかけ算定義に対抗して考えたものです.かけ算をいくつ分で学習した子どもが小数倍とか分数倍になったときに意味を拡張するのに,この図を使って結びつけようとしたわけです.私もずっとこの図を使ってみましたが,どうしても1より小さい数でわるときは抵抗があるなあと感じていたので,今は表と併用しています.
(『田中博史の算数授業のつくり方 (プレミアム講座ライブ)』, pp.145-146)

比例数直線から

「1より小さい数でわる」問題は,同書のpp.90-110で詳しく取り上げられています.*2
さらに,併用しているという「表」ですが,出典の書籍を手にしなくても,http://math.artet.net/?eid=1421602経由でアクセスできるhttp://kodomo.artet.net/?eid=1228758の教科書の中に,ほぼ同じ形の表が載っています*3.この教科書のページには,数直線があるは表はあるは,《BA型》の問題があるは,「×3」「÷7」という表記*4があるはで,私自身びっくりしながら,はてブさせてもらったものです.そのほか,「4マス図」として,校内研だよりにも見られます.

これってむしろ、問題を解くための道具としての図ではなく、問題を解き終わった人が2量の関係を確かめる図にしたほうがまだいいんじゃなかろうか?と現段階では感じています。これから考えがかわるかもしれませんが。

http://math.artet.net/?eid=1421606

あれだ……

図というのは2通りありまして,1つは,人間が物事を考えるために描くもの.もう1つは,考え終わった人が説明のために描く図です.
教科書などの図は,ほとんどが説明のための図です.つまり,よく中身がわかっている大人が子どもに考えさせるときに,説明するために使っている図なので,きれいに整理されています.あのきれいに整理された図を最初から子どもが描けるわけがありません.
(p.68)

2通りの作図を自分のふだんの活動にみるなら,『人間が物事を考えるために描くもの』は,学生室内で,アイデアを説明するために紙と鉛筆で即興で描くときの図で,『考え終わった人が説明のために描く図』は,発表用にPowerPointで表現したもの,ですかね.

比例数直線から

それはさておき,『二重数直線上がうまく扱えないと、問題の数量関係を正しくとらえていないとみなされがち』『問題を解くための道具としての図』に関して,「演算決定」がキーワードとなるのではないかと思っています.次の2問(ただし,いずれか一方だけが提示されたとして)を解くときに,いきなり式にするのではなく,図や表を描いて,どんな関係・状況のもとで青いテープの長さを求めないといけないのかを知り,かけ算またはわり算で表す,ということです.

  • 赤いテープの長さは6mです.青いテープの長さは,赤いテープの3倍です.青いテープの長さは,何mですか.
  • 赤いテープの長さは6mです.赤いテープの長さは,青いテープの3倍です.青いテープの長さは,何mですか.

*1:末の子が小学校を卒業しても,私はかけ算のことを考えているのだろうか, 2. 中学校学習指導要領解説

*2:かけ算のナントカをめぐるカントカで当雑記をご覧の方へのごめんなさいなのですが,もう少し,書きむしるかで『演算決定という言葉は出てきていませんが,これに基づく指導例や出題例は,『田中博史の(略)』(略)』と書いた件,p.104やp.146に「演算決定」が書かれていました.

*3:表側(行見出し)が,『田中博史の算数授業のつくり方』で見られる表には書かれていない,という違いはあります.

*4:これにより,「3×38」ではなく「38×3」という式にすることが,暗に要請されているわけです.自分の記憶では,教科書で「×数」の表記は見たことがないものの,小学校たぶん高学年の授業で一度,黒板に先生が,弓なりの矢印と「×数」を書いていたような,見覚えがあります.