明日の授業で,セキュリティポリシーやISMS (Information Security Management System)を取り上げます.これらは,ポリシーなり管理方法なりを作ったら終わり,ではなく,企業などの現場で適切に機能させ,おかしなところは改善を図っていく必要があります.PDCAのサイクルです.
授業準備のためではなかったのですが,PDCAの本を先日,購入しました.
PDCAサイクル、3つの誤読―サイクル過程でないコミュニケーション過程による評価活動の提案に向けて (シリーズ「大学評価を考える」)
- 作者: シリーズ「大学評価を考える」第4巻編集委員会
- 出版社/メーカー: 大学評価学会
- 発売日: 2011/07
- メディア: 単行本
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本文総ページ数103と,薄い本でしたが,内容はずいぶんと歯ごたえがあります.もう少し,大学の上の人の目になり,かつ「管理」の概念をしっかり持っていないと,読んでその意図だとかいきさつだとかを理解するのは,難しいのかもしれません.
この本は,序章・終章を別にして,執筆者の異なる3つの章で構成されています.第1章は「大学と企業における質の違い(教育過程とものづくり過程の質の違い)における誤読」(p.2,以下同じ)を取り上げていますが,内容で目を引くのは,米国の大学のアクレディテーション制度です.
第2章は「企業経営におけるものづくりにおけるPDCAサイクルの本質理解における誤読」としつつ,キーワードは,PDCAで連想すべき人物,デミングです.
第3章は「PDCAサイクルに組み込まれている目標管理の概念理解における誤読」で,関連キーワードは,ドラッカーです.
ところでこの本では,PDCAやそれに関連する事項・概念が整理されていて,積年の悩みだった
について,答えを知ることができました.前者は,創案時はAction (p.51)であったが,「QC分野では1990年代半ば以降はactionではなくactが一般化している」(p.63)が解答になりそうです.後者は,PDCA確立よりも前に*1管理過程論のなかで「Plan-Do-See (PDS)」があり(p.19, p.55),PDCAはそれと別に案出されたところ,PDSを知るに及び吸収合併する形でPDCAが進展していった(p.58)と,「と考えられる」をつけつつ記載されています.
後で読み直すかもしれない話や語句として,「昨年度まで採択をうけてきたXというプログラム(引用者注:文科省のGP事業のこと)は効果があがらなかったため,今回採択をうけたYというプログラムを計画した」(p.15)が,大学の運営においてPDCAサイクルに組み込めるという話,それと「ゲシュタポ大学」(p.89)を書いておくことにします.