「今日な,すごかってんで」
「ん? うえの子が?」
「せやねん,ご近所の方から聞いたんやけどな…」
「何かしおったんか」
「昼間,あたしもちょっとお庭の掃除してて,家には3人の子どもだけやったときにな」
「ふむ」
「電話がかかってきてん.そのご近所さんから」
「おっと…んでうえの子がとったと」
「そう.で,『おばあちゃんいる?』にな,『いない』って答えてんて!」
「へえ」
「『じゃあ,ママは?』ってなったらな,『んー』って言うねんて!」
「この子なりに,受け答えしたってわけか」
「そうやで! それで向こうも,分かってくれたんやから! それと,最初に『はい○○です』って言うてたて!」
「お前ちょっと興奮しすぎやぞ」
「すごいやないの!」
「まあすごいことやが…頭なでようとしたら,うえの子,受話器のとこに行ったぞ.何も鳴ってないのに」
「(受話器をとって)もしもし□□おばちゃんですか」
「ほうほう,そうくる」
「この子が,鳴ってないのに電話をとったときの定番フレーズやん」
「まあなんか,電話をとったら褒められたっつーのが分かってるようやから,しばらくそのままにしとくか」
「そうよ思い出した,聞いてよ」
「ああ,聞くが」
「その□□おばちゃんの子ども,おるやんか.この子にとってはいとこの」
「えっと…5か月遅れで,一応1学年下になる,男の子やったっけ?」
「そうそう.その子と,うえの子が,プールで一緒に遊んでてんけどな」
「プールて確か,庭でやる,膨らます式のやつやんな」
「せやで,それも向こうのおうちでな.それで遊んだり,どっちかっっていうとあっちの子が,うえの子にいいようにされてたらしいんやが」
「いいようにってか.ちょっとこわいなあ」
「まあ2歳児どうしなんで,他愛もないよ.そのあと何日間かな,あっちの子が保育所から家に帰ってきたら…」
「…」
「『(うえの子)ちゃんのビデオ! (うえの子)ちゃんのビデオ!』言うて興奮して,遊んだときに撮ってくれた動画を見たがるんやで!」
「えー,そんなに喜ぶ要素があったってか!?」
「どうやらぞっこんやね」
「将来,トラブルにならんかったらええんやが」
「まあ2歳児やから」