「聞いてぇよ,今日ねえ」
「何やあったんか」
「あっれえ…あとの子,顔を真っ赤にして泣いてるやないの.あなた,何かしたん?」
「ひっかいて,はなかんで,びんたした」
「もう,怒る気力もなくなったんよ」
「ま,ええことではないな.と思って頭をぽんぽんしようとしたら,テーブルの下に入り込みおったか」
「あとの子,見たらね,お鼻に歯形がついててね!」
「ん? 『はなかんで』って,噛んだんか?」
「せやで,何やと思たん?」
「いや,鼻紙もってちーんとかしたんかいなと」
「なんでこの子がそんなことすんのよ!? 自分の歯ぁで,噛んだんやで!」
「えらいことしおったなあ…」
「ま,あとの子もすぐに泣き止んで,しっかりミルク飲んでんけどね」
「せやけど…うえの子,けしからんな.蔵に入れるか!」
「そうする?」
「ん…まあ,テーブルの下におるから,聞いてみますか…蔵に入ってみたい?」
「いや,いや,やめて,やめて,くらはいや〜〜!!」
「えっと…いっぺん蔵に入れられたことがあるかのように,おびえてるんやが,ないよな」
「ないけどね」
白地に白で野暮な解説:全角空白2文字インデントのうち,「蔵に入れるか!」と言ったのだけは,パパではありません.ポイントは「聞いてみますか」.