わさっきhb

大学(教育研究)とか ,親馬鹿とか,和歌山とか,とか,とか.

ラーメンの作り方

教科書は,学習指導要領をもとにして,扱う教材や数値などがよく吟味,工夫されて作られている。だから,教科書の記述にしたがって授業を進めれば,誰でも算数の授業を行うことはできる。これは例えてみれば,インスタントラーメンを作るようなものである。予め用意された材料を用いて,書かれたレシピにしたがって作ることによって,誰でもラーメンの味を作ることはできる。しかし,行列のできるラーメン店の味には程遠い。基本となるラーメンの作り方は同じでも,そこに店主による独自性や工夫を加えることで,行列を生むおいしい味が生まれるのである。
(中村潤一郎: 小学校で扱うのだからこそ,目的意識と主体性のある算数活動を, 算数授業研究 77 特集:まるごと1冊新内容の算数授業!ここがポイント, p.26)

5年生の児童に,「合同」の概念をどのように教えようかというのが本論で,上記はそこに挟まっていました.
「レシピ」という言葉は,当雑記で先月,使っています.

あとまあ「授業の組み立て方に関する本」は,先生方は,レシピ集のように思っているのかもしれません.児童がきちんと理解してくれるかどうかは,まずは先生の指導力,力量にかかっています.しかし用語だとか筋道だとかに不安があれば,出版されている本が,頼りになります.(略)

俺演算決定

それにしても,「インスタントラーメン」はインパクトがあります.ちょっと考えて,教育のしかたと,ラーメンの作り方との間で,対応を表にしてみました.

教育 ラーメン
教科書通りに進める インスタントラーメンを作って食べさせる
教科書をもとに,独自性・工夫を加える インスタントラーメンにアレンジを加える(ラーメン鉢に盛る*1,具を入れるなど)
教科書を使用せず,独自に組み立てる 素材にこだわった一品を作る
授業計画を立て,実施記録を残す レシピを書く(注意点,感想も)
実践例として公表する レシピまたはインスタントラーメンとして世に出回る
子どもの意見を取り入れる ラーメンに適量のスパイス*2を入れる
算数ドリル 毎食インスタントラーメン

最後の「毎食インスタントラーメン」について,「ラーメン」なのでこう書いたものの,「1日3食しっかりとること」としたいところです.健全な食生活があってこそ,おいしい料理に舌鼓を打てるというわけです.


いつものように,自分の授業のことを.3年前期向けの情報セキュリティは,教科書を指定していた初期のころから離れて,自己流で組み立てています.この話題を詳しく知りたければ参考書の何ページまたはWebのどこそこ,と添えるのは,授業を料理に見立てたとき,素材の産地や歴史をもっと知りたい人向けに,情報提供しているようなものです.
授業の基本となる話,いわば本編(本論)と,そうではないけれどせっかくの機会なので知っておいてほしいなと思って話す,余談があります.本編は過去のものを使い回せるのに対し,余談は「旬」のネタとする必要もあり,今年度の授業準備では,本論:余談=3:2くらいの比で時間をとっていたかなと思います.
以下の暗号プロトコル

  1. Alice→Bob: e1(M)
  2. Bob→Alice: e2(e1(M))
  3. Alice→Bob: e2(M)

(ただし,e1とe2はその合成が可換な暗号化関数,すなわちe2(e1(M))=e1(e2(M))が任意のメッセージMに対して成り立つとします.e1による暗号化とその復号はAliceのみが,e2はBobのみが行えるものとします.)
を「目に見えるようにする」ために,2つの大きさの異なる南京錠をホームセンターで購入しておき,鞄に鍵をかけて教室のあっちからこっちまで歩いて実演したのは,今年度の授業の初回の余談でした.しかし「合成が可換な暗号化関数」は,通常使われる対称暗号には存在せず,RSAでNを等しくすれば可能だけれどもその場合には安全性が保証されないことに気づいて,試験で問うのを断念しました.

*1:某年月日追加.

*2:「スパイス」は,冒頭で引用した文章にも使われています(p.27).なお,この脚注は翌日に書き換えました.