わさっきhb

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2重の誤り

いきなりですが問題です.

次の説明文の中で,不適切な箇所を2つ見つけ,「修正前→修正後」の形で解答しなさい.

  • 前処理指令には,#define,#inport,#ifなどがある.#defineを使うと,オブジェクト形式マクロやインライン関数を定義できる.

先月16日,授業終了時の小テスト問題です.用意していた解答は,#inport→#include,インライン関数→関数形式マクロ,ですが,#inportは別の前処理指令でもかまいません.
この「#inport」は,2重の誤りを含んでいます.一つは,もちろんそんな前処理指令がないということですが,もう一つは,"inport"は英単語としておかしいという点です."import"と綴りますし,この単語は,Javaでよく使用されます*1
念のため英辞郎で「inp」から始まる単語を引くと,"inpatient"(入院患者.対義語はoutpatient)と,"input"から始まるものが多数です.inportは見つかりませんでしたが,inprintはimprintと別物のようです.inpourという単語には,要注意かもしれません.
英語のことから出題のことに話を移しまして,「2重の誤り」には元ネタがあります.実のところ,それを目にして,何か問題を作ってみようと思ったのでした.

まっすぐな道にはたが立っています。
はたは6本です。
はたとはたの間は、どこも8mです。
はたのはしから、はしまで、何mでしょう。

さっそく、問題が解かれる。
(1)6×8=48(m) (2)8×6=48(m) (3)8×5=40(m)
(1)は二重の誤りで、式の表現が一つ分に当たる数といくつ分に当たる数を書く順が約束に合っていないし、間の数も違う。(2)は間の数を考慮していない。(3)が正解。子供の意見で徐々にこれが明らかになるように話を聞く。
(『算数好きにする教科書プラス 坪田算数2年生 (TEXT BOOK PLUS)』p.73.カッコ囲みの数字は原文では丸囲み)

「いや,だから」と反応される前に,補足をしておきます.前のページに,この出題を図にしたものがあります.授業としては,図を児童に見せて,あれこれ言わせてから*2,では問題を解いてみましょう(式を立てて,計算し,答えを出しましょう)という展開になっています.
(1)を間違いとする理由の中に,「約束に合っていない」という言葉があるのも,大切なところです.これまでに学習してきたことを踏まえると,間違いと言えるわけです.学年が上がり,乗法の意味を拡張していけば,その意味に合ったかけ算を使用すればよいのです.先生サイドからすると,これまで何を学習してきて---正しく理解していなかった児童,忘れてしまった児童にも留意しつつ---,どのタイミングでこの植木算を見せればいいか,子どもたちはどんな反応を示すだろうか,といった検討は,授業研究に含まれるのでしょう.
それともし,(1)〜(3)すべてが,授業中に児童から出てこなかったら,例えば「むかしね*3,この問題を見せたら,ある子が8×5=40って答えたんだけど,どうしてこう言ったか分かる?」として,答えの候補を追加すればいいのです.これは「筑波の算数」から学んだテクニックですが,大学の授業やゼミでも活用できそうです.

*1:ただし,Cの#includeがJavaのimportに対応する,というわけではありません.javaのimportについて - javaのimportでわざわざ一つずつインポートす... - Yahoo!知恵袋のベストアンサーや,Javaの実案件に必須のパッケージとインポートを知る (2/3):【改訂版】Eclipseではじめるプログラミング(10) - @ITで解説されています.

*2:図は,icebreakerのようなものです.

*3:校外で授業交流をしているのなら,地名を挙げるのも,一つのやり方です.社会科との連携,というのは言い過ぎとしても,親近感を持ってもらえそうです.何度も使うと,「それはそれ,ここはここ!」と反発する子が出てくるかもしれませんが.