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ラオスの方に研究紹介

とある平日のこと.10時ごろだったか,メールが来ました.学科事務さんからです.
ラオスからお越しの研究者の方が,研究内容をお聞きしたいとのことなので,対応可能な先生はお知らせください」
ああ例の件か,ってこのメール読んで返信する教員はいそうにないなあと思いつつ,自分の仕事に戻りました.
11時に電話が鳴りました.学科内の先生です.ラオスの方の案内役をされている先生です.「お願いしたいんですけれど」「英語でですよね」「はい.何かあったら入りますので」「分かりました」「2時半から,5分ほどね」.
一本釣りされました.私も何度か,メールで全体アナウンスしてから,個別に相談というのをしてきたので,文句を言うわけにはきません.自分の勉強のため,そしてご恩返しのため,やらせていただきましょう.
独身で助手のとき,チェコへ一人旅をしたのを,思い出しました.国際会議の発表です.あのころは,原稿を読むプレゼンをしていました.それはさておき,平日に用務を入れる必要があるため,事前に訪問依頼をしておいたブルノ大学で,丁寧に案内していただきました.いろいろな方から声をかけてもらいました.そうだ,これのご恩返しにもなるかな.…
ぼおっとするのはこれくらいにして,しっかり準備をしましょう.
その方の研究テーマは,ラオス文字の手書き文字認識とのこと.なので,2年前にスペインで発表した件(漢訳仏典の翻刻支援)を,研究紹介の主軸にしましょう.論文は両面印刷.発表のpptxファイルは,図を中心に何枚か選んで印刷.
「いま,どんな研究をしているか」も聞かれますよね.えっと,英語で書いた研究紹介のWebページを読み直して…うーん,説明しにくい.ともあれこれも印刷し,いったん記憶から離れます.
やはり1枚もののレジュメを作っておきましょう.日付と氏名を書いて,内容は次のようにしました.

  • Topics of research
    • 2005- : full-text search
    • 2004-2011 : information processing of Buddhist sutra
    • 1999- : database system
  • About "Transcription support system"
    • Vertical-writing Chinese characters, handwritten several hundred years ago.
    • A worker compares the shot image with existing text file to modify the file.
    • Modified text files by respective workers are unified, and a conclusive text file is made.
      • Earlier version is threshold-based and automatically decided.
      • Final version has an expert's cooperation for judgment.
    • Experiments showed that three undergraduate workers' text files exceeded the modification by an expert.
    • I announced the result at the international conference in April 2010, and the full paper was published (in Japanese) in July 2011.

ただし,棒読みではありません."Transcription is to make a text file from virtical-writing..."といった,間の表現も,頭の中に入れておきます.
これを3部,印刷させてから,どこで応対するかを考えました.自室は妻子に見せられないほど壮絶なので,学生室を使いましょう.修論も卒論も終わりましたが,学生が一人,おりました.共用机を綺麗にしておくよう頼みました.
そして2時すぎにお越しです.学生室に入ってもらい,紙を渡して説明する.案内役の先生から,「リラックスしてもらわないとね」と言われました.
先ほどの箇条書きを,一つ言うたびに,案内役の先生から質問をもらいます.全部英語です.その都度,なんとか回答しました.そうです,文字の機械認識ではなく,グループウェアです.
実験結果のところで,「3人のworkerと,1人のexpertで,3人のほうが良いというのは信じられない」と案内役の先生に言われました.ここは想定していたところで,「“3人のworker+1人のexpertで判断”と“1人のexpertがworker”との比較なのです」と答え,案内役の先生と,ラオスの研究者さんの同意をもらいました.
案内役の先生から「今は何の研究をしているのか」と話題を移されたので,「全文検索です」と答え,レジュメにないことを話しました.そこでやっとラオスの研究者さんから,言語は日本語限定なのかという趣旨の質問が来ました.いやそこは,日本語でも,中国語でも,また一つの文書にいろんな言語が入っていても,検索できるのですと答え,理解してもらいました.
(このときに,ラオスの文字も大丈夫,UTF-8で表現できればいけますよ,と言えれば良かったなあというのは反省点です.もっと洒落にならない反省点があって,最初に名刺交換をしたとき,日本語表記の方を見せて渡したのでした.)
ラオス文字を見せてもらい,研究の概要を聞かせてもらいました.うーん,難しそう,しかし面白そうです.そういえば何年か前に,じんもんこんで,モンゴル文字の認識だったか処理だったかが,自分らと同じセッションでした.
トータル10分くらいでしたでしょうか.にこやかなうちにさようなら.そして疲れがどっと出ました.