1人泣く
金曜日の朝.
「よっしゃ,ほなら,お熱を測ろか〜」
「さきの子よ,おいでおいで,でもってころ〜んっと(倒す)」
「脇に,この体温計を挟むんやで〜」
「ぎゃ〜〜〜ん!」
「は〜い,もうちょっとやからなもうちょっと.泣くな泣くな!」
(ぴぴぴぴぴ…)
「よっしゃ鳴った.6度7分ってか.ごくろうさん」
「次は…あとの子の番やで.笑顔でええなあ」
「はい脇に挟んで…さっそく泣くんかいな」
「え〜〜ん!」
「動きたい気持ちは分かるが,動いたらあかん!」
「え〜〜〜ん!」
(ぴぴぴぴぴ…)
「よっしゃ,えっと,6度3分な」
- なんで体温を測っているのかというと,保育所の教室に着いたら,連絡帳を渡していまして,連絡帳には,朝の体温だとか,朝食だとか便通だとかを書く欄があるのです.
「しかしお前ら…一方が泣いたら,もう一方は泣かんようにできてるんか?」
2人泣く
日曜日の朝,実母が我が家へ.
「あのな,すえの子ちゃん,私会うの初めてやねん」
「あれ,そうなん?」
「あんたからのハガキはもろたけどな」
「ああそっか…」
「1か月ちょっとやったら,まだ,私の顔,分からへんわな」
「うーんせやな」
「おばあちゃん,だぁいすき」
「お前,ええタイミングで口を挟むなあ」
- うえの子を乗せて,車で迎えに行っていたのでした.
「あとなあ,双子ちゃん,泣けへんかなあ」
「え? 泣くんか!?」
「前に会うたときは,最初もう泣いて泣いて」
「あれ,そやったか」
「終わりのほうには慣れてくれたけどな」
「うーん,ほな,大丈夫ちゃうかなあ.月齢も増えてきたし」
「…」
といったところで家の中へ.うちの者と挨拶を交わしながら…
「おーい,さきの子にあとの子よ,あっちのおばあちゃんやで!」
「そいでいきなり2人とも泣き顔かよ.泣くな泣くな.こらえられるか? ……」
「ふんぎゃ〜〜〜あ!!」
「うわ〜〜あ〜〜ん!!」
「うわ,お前ら2人で大エンダーを歌いおったな」