「まま,みて!」
「あら,うまいこと作ったやないの! あなた賢いねえ!」
「へえ,紙とハサミと,テープで,そんなん作るんか」
「この子こういうの好きなんよね」
「せやな.朝早よ起きて,こっちに来て,描きたいから紙ほしいって言うしなあ」
「そうなんや」
「まあそないして,手ぇを動かすのは,ママ似やな」
「そうかもね.毎年,お雛さんの焼き物,作ってるし」
「パパはそんな絵心ないけど,せやなあ,そのうちパソコンで描き方を教えちゃるか」
「教えちゃってや」
「ほんでそないして才能が芽生えてきたら…」
「…」
「お前,将来はアーティストやな!」
「あー!! かっこいい!」
「あれ? 変に強く反応したなあ」
「この子ね,『アーティスト』という言葉の響きに反応したんやと思うよ」