「双子ンすごいな」
「どしたん」
「お風呂でな.何やったっけ,アンパンマンのキャラとかサーフボードみたいなんとかの,ウレタンでできたちっこいやつあるやん」
「えっと…(子ども用の)ジョウロに入ってあるやつ?」
「せや.本来はお湯の上で浮かべて遊ぶもんやけど…」
「…」
「あとの子がやり始めたんやったか,壁に貼りおんねん.タイルんとこな.ペタっと」
「へえ,かいらしなあ」
「次の日くらいに,さきの子もやるようになったな」
「ふうん」
「なかなか賢いで.パパもやっちゃる言うて,わざと,絵柄のない白いほうを,こっちに見えるように貼ったらな,取って,表向けて貼り直すんや」
「賢いな」
「そいでびっくりしたんは,今晩や.あとの子が,11個を貼り終えて,まああの子なりに満足してるんやが…」
「…」
「風呂のタイル1枚の真ん中に1個,や.隣り合ってやけど,別々のところに1枚ずつ,貼っとんねん」
「すごいやん」
「んでさきの子も,示し合わせたわけはないやろけど,頑張りおってやな」
「どんなんなん?」
「2番手入浴のさきの子はやな,全部やなくて初めの3枚だけやけど…タイルの境界の線どうしでできる,交点のところにペッタンしおってん」
「へえ」
「言うてみたら,さきの子は囲碁の置き方や」
「まあ,そやね」
「それに対して,あとの子は,将棋になるな」
「…」
「パパのパパがおったら,喜ぶでぇ…」