夕食で,うえの子,さきの子,あとの子が定位置のイスに座っています.
「あれ,この子ら晩ご飯,まだなんか?」
「いま食べさしたとこ」
「そっか」
「ちょっとあっちの部屋へ行ってるんで,見といてくれる?」
「よっしゃわかった」
「う〜」
「んでタイミングよお,パパなんかせいってか」
「ほなこれやっとこか…我が家の,さきの子ちゃん!」
「…」
「無視かよ.お前なんやが.もっかいいくぞ,我が家の,さきの子ちゃん!」
「(手を挙げて小声で)はい」
「ん.よくできました.ほな次は,我が家の,あとの子ちゃん!」
「(手を挙げて)はーい」
「(手を挙げて)はーい」
「あとの子ちゃん,よくできました.んでやな,さきの子よ,お前は手ぇ挙げたらあかんねんで」
「次は…我が家の,うえの子ちゃん!」
「(手を挙げて元気に)はい!」
「(手を挙げて)はーい」
「元気やね…んでまた,さきの子はつられとんかいな」
「あとこれやっとこか,我が家の,ママちゃん! …よっしゃ,ここは誰も」
「(時間をおいてから,手を挙げる)」
「やっぱり反応してもたか」
「あたしにやらせて」
「うえの子か,ほなやってみ」
「わがやの,さきのこちゃん!」
「(手を挙げて)はーい」
「わがやの,あとのこちゃん!」
「(手を挙げて)はーい」
「(手を挙げて)はーい」
「期待どおりの展開やな」
「わがやの,ママちゃん!」
…
「わがやの,パパさん!」
「待て待て,ちゃんと下の名前で言うてくれへんかなあ」
名前を呼ぶとほかでも書いていますが,「うえの子(ちゃん)」「さきの子(ちゃん)」「あとの子(ちゃん)」は実際には,下の名前を呼んでいます.「ママちゃん」も同様です.「パパさん」だけは下の名前ではなく,実際にこのまま言った,というというお話でした.
おまけ:
「保育所の連絡ノートにね」
「あむ?」
「『あとの子ちゃんが,“ちっち”って言ってました.おとうさんのことを父と呼ばせてるんかなあ』って書いてあったんよ」
「いやいやそんな」