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エコシステム

3年ゼミの話です.金曜4限,1フロア上の慣れないゼミ室での実施です.
先々週は企画1回目で,ワールド・カフェを試みました.
先週はその結果を踏まえ,Word文書に基づいて企画案を発表してもらいました.
昨年度までの3年ゼミと同様に,下の学年から質問…なのですが,最初は4年です.14:55ごろにゼミを開始させ,10分ほどで報告おしまい,4年生・大学院生の質問とその対応があらかた終わったのが15:30ごろ.
企画の方針で,致命的な問題があるわけではないのですが,いやそれが原因かして,活発な議論とはいきません.
私の番を少し早めました.3年生の一人をホワイトボードのそばに立たせ,書いていくよう指示しました.
データベースの対象となる,データではなく「モノ」の動きです.
そこに「エコシステム」という名称を使いました.「生態系」です.
ゼミのやりとりをここに書くと,3年生の今後に影響を及ぼすので,架空のデータベース設計作業を用意してみますか…大学周辺の電車・バスの時刻表データベースにしましょう.そして,南海やJR,和歌山バスがWebで提供している情報は,あえて使わないことにします.
そうすると,まず,各駅・各停留所の時刻表を知る必要があります.紙に書くかデジカメ撮影するかして,収集し,データベースに入れていきます.面倒です.ゼミで本当にするのなら,駅・バス停の全部でなく一部でもいいでしょう.
それで,データベースに入ったら,みんなが使ってくれるかというと,そんなわけはありません.その時刻表を,システムを通じて見えるようにしないといけません.ユーザの思いつくいろいろな方法で検索し,適切にヒットさせることも必要となります.
ただ,そのあたりは,データベースというよりは,インタフェースに依存するところが大きくなります.
これでめでたしめでたしかというと,まだまだです.時刻表は,よく改定されます.
ある年月日から適用される時刻表データを取り入れ,その日以降,古いものは削除…というのもまずい話です.あの日はどんな運行をしてたっけと検索したい,本数や頻度などを新旧で比較したいといったニーズも,あるかもしれません.
そのほか,時刻表の改定よりも頻度は少ないですが,駅や停留所の新設・廃止というのにも,対応しましょう.実際和歌山市内では,今年4月に和歌山大学前駅が開業し,それに伴いバス路線も充実しましたが,wikipedia:南海和歌山港線にあるとおり,何駅か廃止されて10年も経っていないのです.
3年ゼミに戻りますと…企画したデータベースで,少なくとも対処しないといけないことを,洗い出しました.本来は設計の前に行う作業でしょう.しかし「企画終了,次は設計」とすると,ER図をぽんと持って来るのが,目に見えています.そしてそんな3年ゼミはこれまで,仕様に隠されたニーズを読み解き,システムとして実現するまでに,3年生も聞く教員も,苦難の連続だったのです.
そういう事態に陥らないよう…こちらからかなり指示をしつつ,3年生に図をかき足してもらったり,上回生のアドバイスを得たりして,“なんとかデータベース”を作ろうとするときの“なんとか”の振る舞いを,可視化してみました.
ということで,企画1では「ワールド・カフェ」,そして今回・企画2では「エコシステム」という聞きかじりの言葉を使って,ちょっとでも豊かなシステムを目指し,発想支援活動を行ってみました.
今回の活動を通じて,ある程度は人や情報,そしてシステム化のことも視野に入れることができましたが,システムの作り込み,と言いますかその結果を受けてのデータベース設計は,3年生に任せるとしましょう.
時間もいい感じになりました.1週間で取りまとめてほしいことを伝え,3年ゼミの第2回は,お開きとなりました.


「エコシステム(ecosystem)」という言葉,英語論文で何度か見かけました.もちろん情報系です.
なのですが,wikipedia:エコシステムや,エコシステムとは何? Weblio辞書を見ていると,その場に関わるモノの振る舞いだとか変化といった意味では,なさそうですね.もっと理念が重視されたり,また経営やビジネスモデルと結びついて活用されたりする概念のようです.
英辞郎にも,「【名-2】〈比喩〉《ビジネス》エコシステム、収益活動協調体制◆特定の業界全体の収益構造。」と載っていました.
(リリース:Tue Oct 30 00:08:52 2012ごろ)