わさっきhb

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「a×b」と「b×a」のペア

Q: 学校教育は,一体どうなっているんでしょうか?
A: 去年あたりから,教科書そして教師・家庭向けの書籍で,“一方が「a×b」,もう一方が「b×a」で表されるような一対の場面(文章題,絵など)”をよく目にしています(略).これは,「どっちでもいい」対策になっています.さらに,区別があやふやになったという子どもに,そのペアを見直させれば,「一つ分の大きさ(かけられる数)」と「幾つ分(かける数)」の区別を思い出しやすいことから,リファレンスの役割を果たすようにも思います.

かけ算の順序問題がWikipediaに

「かけ算の順序論争」を経て,次の種類の出題が注目を集めるようになりました.
(略)
3. 一方が「a×b」で,もう一方が「b×a」で表されるような一対の文章題

注意を要する出題(「かけ算指導案」をお探しの方へ)

該当するものがどれくらいあるか,調べてみました.


Q: この件と,「かけ算の順序問題」との関係は?
A: 次のとおりです.

非順序派は,一つの式で表せる対象を,広くとることを重視します.それに対して,小学校の指導は,一つの式で表せる対象が,より狭くなりますので,被乗数・乗数を交換した式との「書き分け」が行えます.

「3×5と5×3,答えは同じだけど,意味は違う」とは

Q: 「リファレンス」って,どういうこと?
Q: そんな例を挙げたって,あとで交換法則を学習したら,どっちでも良くなるのでは?

A: 上の2件にまとめて回答します.「6人のこどもに,1人4こずつみかんをあたえたい.みかんはいくつあればよいでしょうか」などへの立式間違いによって,かけられる数とかける数の区別を忘れてしまっていた子(または,その授業を欠席した子)がいたとき,2つの文章題((絵よりは文章題のほうが,効果的でしょう.))を見比べさせて,「(間違えた問題は)どっちになるかな?」と尋ね,「一つ分の大きさ」と「幾つ分」を確認する,という使い方を,「リファレンスの役割」と書いたのでした.このプロセスに,「交換法則」「どっちでもいい」が入る余地はありません.

Q: また,過去に書いたことへのリンクですか?
A: まあそうなのですが,本日のエントリを書くのに先立ち,リンク先に画像や文章を追加しています.資料集も,ゆっくりと変化させているのでした.
Q: 「書き分け」を,学校で教えているということですか?
A: いえ,「書き分け」は当ブログ内の言葉です.問題文や絵などから,「一つ分」と「幾つ分」を見つけ,かけ算の式に表すという活動を,それら一対の場面がサポートしている,とお考えください.
Q: なぜ去年から?
A: 現行の学習指導要領で,数量関係の領域が第1学年・第2学年にも入ってきたことが,大きいように思います.この指導要領に準拠した教科書が,平成23年度すなわち昨年から,という次第です.
Q: 表記の確認ですが,「かけられる数とかける数」ですか? 「かける数とかけられる数」ですか?
A: これまで読んできた記憶で言うと,「かけられる数とかける数」も「かける数とかけられる数」も「被乗数と乗数」も「乗数と被乗数」も見られ,どれが極端に多い/少ないというのは,ありませんでした.個人的には,エントリごとに一貫するようにし,引用時には原文を尊重するよう努めています.

(最終更新日時:Sat Nov 3 05:28:29 2012ごろ)