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「など」の英語表現

某年月日の某ゼミの学生発表資料,英語概要に"... X, i.e., A, B, and so on."とあって,びっくりしました.
意味としては「AやBなど,Xを…」のようです.Xは親要素,AとBはその子要素となっています."etc."の使用を避けたっぽいのですが,しかしand so onは論文では見かけないし,"i.e.,"は"e.g."のほうが自然です.
以前,逆接表現を整理したことがあります.今回は,「など」の論文向け英語表現にどんなものがあるか,一人ブレストをしてみました.
結果は:

  • such as
  • for example / for instance
  • like
  • say
  • e.g.
  • and any other

such as

直訳すると「のような」.
構文は「親要素 such as 子要素」です.子要素は複数並べて,andまたはorを挟みます.子要素の語数が多い場合や,親要素と子要素を明確に分けたいときは,suchの直前にカンマを置きます.
例文:There are various scripting languages such as Perl and Ruby.

for example / for instance

直訳すると「例えば」.
2つの文にします.先の文で,親要素について書き,あとの文で,"For example, "から始めて具体例を挙げます.
例文:There are various scripting languages. For example, Perl and Ruby are well-known.

like

直訳すると「のような」.
"such as"や"just as"*1を,この単語に置き換えることができます.ただ,軽い表現になります.とはいえ,論文でまあまあ見かけますし,私も使います.
なお,likeのあとの子要素を複数にすると,重たく(したがって不釣り合いに)なるので,1個にしておくほうがいいでしょう.
例文:There are various scripting languages like Ruby.

say

直訳すると「まあ」.英辞郎には,副詞で「例えば」という訳が載っています.
likeと同様に軽い言葉です.子要素は,ここも1個だけにするほうがいいでしょう.sayの直前にカンマを入れる*2こともあります.
例文:There are various scripting languages say Ruby.

e.g.

直訳すると「例を挙げると」.ラテン語だそうです.英語論文を読むときに知っておくべきラテン語は3つあって,e.g.はfor example,i.e.はthat is,et al.はand others*3です.
なお,e.g.はfor exampleの完全な置き換えではなく,上記のsuch as, like, sayと同じように使います.直前には必ずカンマを置きます.直後には置きません.
例文:There are various scripting languages, e.g. Perl and Ruby.

and any other

直訳すると「や他の」.
構文は「子要素(,) and any other 親要素」です.これまでの語句と,親子の順序が逆になるところに注意してください.
例文:Perl, Ruby and any other scripting languages are available.

「など」使用の注意点

"etc."や"and so on"を使ってはいけないのは,論文表現としてふさわしくないほか,もう一つ理由があります.ここまで何度か「親要素」「子要素」という言葉を使ってきましたが,etc.ほかを使った列挙表現は,子要素だけになり,その親要素が必ずしも明示されないのです.
言うまでもなく,論文には明快性が求められます.例を並べると,それらの例が何なのか(なぜ,そういった例を持ち出すのか)が問われます.
この点に注意すると,つなぐ語句は何であれ,さまざまな名称・概念の関係を明確にすることが望まれます.
「など」をうまく使えば,親子関係が分かりやすくなると同時に,親要素がどのようなものなのか,そのイメージを読者に伝えるのに役立ちます.

*1:"X such as A"は,Xが親要素でAが子要素,言ってみればA∈Xとなるのに対し,"X just as Y"は通常,X≒Yを意味します.

*2:文中に「say 名称」を書く場合は,その前後にカンマを入れます.

*3:「人名 et al.」と書き,「(人名)ら」という意味になります.