わさっきhb

大学(教育研究)とか ,親馬鹿とか,和歌山とか,とか,とか.

どうして斜めなのに

どうして斜めなのに、まっすぐ立ってるやつと同じ高さなんでしょうか?

スマートフォンとかタブレットの広告写真、なんかヘン!? | ギズモード・ジャパン

cos 10°は約0.98なので,たった2%しか小さくならないから.

なぜcos(コサイン)?

なぜcosなのか,直角三角形を使って説明します.

この図形で,斜辺(青色)が最も長いのは,測ってみれば分かるし,そうしなくても,三平方の定理が教えてくれます.
では,鉛直方向の長さ(赤色),すなわち高さは,斜辺と比べてどれくらいの長さでしょうか?
この三角形の3つの角度は,90°,80°,10°にしています.赤色と青色の挟む角が,10°です.
この配置では,高さ=斜辺×cos 10°という式が成り立ちます.cos 10°の値は,三角関数表から見つかりますが,PCでも計算できて,0.9848…です.なので,斜辺の約0.98倍です.
10°も角度があると,それなりの三角形になっているように見えます*1が,斜辺と高さとでは,ほんのわずかしか,差がないのです.
以下「高さ」とは製品寸法の一つではなく,鉛直方向の長さを指すものとします.

角度と高さを求める

角度を測っていきましょう.
まず,冒頭のリンク先を見て,画像を開きます.
次に,PCの画面上で使える「分度器」を,持ってきます.窓の杜 - 【今日のお気に入り】デスクトップで角度を測る「分度器で測りましょ」v1.0.5からprohakaru.lzhをダウンロードして伸張.Protractor.exeは,Windows 7でも問題なく動作しました.
分度器を当ててみると

左上は,「78.0」という数字が出ているので,角度は12°です.

右上は,「99.9」という数字.ほぼ10°です.

左下が最も開きが大きいようで,「76.5」という数字から,13.5°となります.

右下が最も開きが小さく,「97.4」という数字から,7.4°です.
ここで分度器を終了させ,斜辺の長さを1としたときの高さを,ターミナルで計算させましょう.シェルを開いて,pry*2コマンドです.

$ pry

[1] pry(main)> Math.cos(10*Math::PI/180)
=> 0.984807753012208

[2] pry(main)> 0.upto(90) {|i| puts "%2d => %s" % [i, Math.cos(i*Math::PI/180)]}
 0 => 1.0
 1 => 0.9998476951563913
 2 => 0.9993908270190958
 3 => 0.9986295347545738
 4 => 0.9975640502598242
 5 => 0.9961946980917455
 6 => 0.9945218953682733
 7 => 0.992546151641322
 8 => 0.9902680687415704
 9 => 0.9876883405951378
10 => 0.984807753012208
11 => 0.981627183447664
12 => 0.9781476007338057
13 => 0.9743700647852352
14 => 0.9702957262759965
15 => 0.9659258262890683
(略)
88 => 0.03489949670250108
89 => 0.017452406437283376
90 => 6.123233995736766e-17
=> 0

画像をもとに,高さ計算をしてみます.画像をダウンロードしてIrfanViewで開き,領域を指定して寸法を測ると,左下のが最も大きくて173ピクセルでした.さきほどのpryを使って…

[3] pry(main)> def cos_deg(angle); Math.cos(angle*Math::PI/180); end
=> nil

[4] pry(main)> 173*cos_deg(13.5)
=> 168.21999622879804

斜めに13.5度倒しても,高さは5ピクセルほどしか減りません.もっと小さな角度なら,減りはもっと小さくなり,ほぼ差がなくなります.
いや,5ピクセルは,目で見て分かる差です.長方形を描いてみると*3,丸囲みのとおり,ほんの少し「浮いている」のが見えます.

実機だと,どうでしょうか.wikipedia:Nexus_4によると,最長辺は133.9mmで,cos_deg(13.5)をかけると約130.4mmと出ました.その差3.5mm.立て方・見せ方,ライティングや影のつけ方次第で「ほぼ同じ」になりそうです.

なぜこう見えるのか

pryでもう少し,計算してみます.

[5] pry(main)> cos_deg(0)
=> 1.0

[6] pry(main)> cos_deg(10)
=> 0.984807753012208

[7] pry(main)> cos_deg(0)-cos_deg(10)
=> 0.01519224698779198

[8] pry(main)> cos_deg(80)-cos_deg(90)
=> 0.17364817766693036

角度が0°から10°になったときの高さの差は,角度が80°から90°になったときの高さの差よりも,ずいぶんと小さいのです.
このことは,角度が何°から何°に…と動的に見なくても,90°,10°,80°の角度からなる直角三角形を2つ,描くことでも確認できます.

角度は,「分度器」を当てて確かめてみてください.三辺の長さの比はどちらも,1:0.9848:0.1736です.

もっと大きな角度にしてみます.

[9] pry(main)> cos_deg(0)-cos_deg(60)
=> 0.4999999999999999

[10] pry(main)> cos_deg(60)-cos_deg(90)
=> 0.5

角度が0°から60°になったときに,高さは半分になります.残りの半分は,角度が60°から90°に,なので30°だけでいいという次第です.

国学力テストにも

cosだとか,そもそも角度を使っていませんが,高さの変化が穏やかだったり急になったりする話は,全国学力テストで出題されています.
平成23年度全国学力・学習状況調査として実施を予定していた調査問題の小学校算数B大問5の(2)です.p.116に,説明があります.

【けんたさんの話】
ゴンドラが上がっていくときに,とちゅうで急に上がるように感じました。

【遊園地の係の人の説明】
ゴンドラは,同じ1分間でも,位置によって上がり方がちがいます。
アからイでは, 7 m 上がります。
イからウでは,14 m 上がります。
ウからエでは, 7 m 上がります。
同じ1分間でも,イからウに動くときは,高さのちがいが大きいです。
だから,とちゅうではゴンドラが急に上がるように感じます。

ともあれ小学生向けの出題です.身近に観覧車がないだとか,高いところが苦手だとかで,乗った経験がない子でも,図と表をよく見て,数量関係と,点対称な図形の性質に注意すれば,答えを得ることができます.

(最終更新:2012-12-18 晩)

*1:Nexusほかでは,斜めにした機器の厚みもあるので,十数°よりももっと開いているように見えます.

*2:irbでも,結果は同じでした.

*3:convert 121212_smartphonead1_640.jpg -fill none -stroke green -draw 'rectangle 141 176 308 349' -stroke red -draw 'circle 295 349 305 349' 121212_smartphonead1_640_rectangle+circle.pngとしてから手動で切り取り