ある朝:
「ほな行ってくるね」
「見送るゎ」
「すまんの…今日も特に何もないから,定時に帰れるかな」
「はーい,早よ帰って来てね」
「あ〜〜〜ん!」
「おいおい,あの声は…さきの子か?」
「せやね.座らしてんねんけど」
「パパが行くんで,泣いてるんかなあ.パパ冥利に尽きる,ってか」
「いやあれは,ママが出かけると思てるんとちゃうかな」
「何やそれ」
「ま〜〜〜ま〜〜〜!!」
「何やそれ! 早よ,さきの子のとこへ行っちゃりや」
次の朝:
「ほな行ってくるね」
「見送るゎ」
「おう.さきの子は…泣かんか?」
「まーまー」
「玄関まで来おったか.そっか,今日わは,この子ら,座らせてなかったからなあ」
「あとの子も来たよ」
「そっかそっか,行ってらっしゃいって言うてくれるんか,パパ嬉しいなあ」
「やっぱり,ママが出かけると思てるんとちゃうかな」
「そんなもんか」
「ま〜〜〜ま〜〜〜!!」
「またかい」
「降りたらあかんよ」
「あとの子は,自分の靴を履こうとしとるぞ」
「この子らは押さえつけとくから,パパ行って」
「あいよよろしく,行ってくるね」