なにこれ
「4×3と3×4,答えは同じでも意味が違う」に関して,数学的な観点から検討を深めようと思いまして,その足がかりとして,図を作りました.
「4×3と3×4」の違いについては,以下の書籍やWebの情報で見てきており,当ブログでも取り上げてきました.
- 誰もができる子どもに活用力をつけるワクワク授業づくり―第2回RISE授業実践セミナーの報告 → デカルト積のピクトリアル - わさっき
- Teaching Mathematics in Grades K-8: Research Based Methods → Luckier! - わさっき
- 平成22年度実施 学力実態調査の集計と考察〈数と計算 数量関係〉 → トランプ配りと,うまくやっていく - わさっき
- 平成24年度実施 学力実態調査の集計と考察〈数と計算 数量関係〉 → 6年は鉄のぼう,2年はみかん - わさっき
「数学的な観点」のアウトラインを示しておきます*1.場面の集合Sと式の集合Eを定義します.式は"3×4"や"4×3"といった(フレーズ型の)式のほかに,"12"のような,それ以上計算できない式(項書換え系でいう正規形)も含まれます.Eにおいて代数的に等しい式に基づく同値関係(Eの同値関係)を得ることができ,乗法の交換法則は,Eの同値関係の一部として,算数・数学において確かめたり,活用したりします.
場面と式との対応づけは,SとEを用いた2部グラフで構成されます.したがって,交換法則をはじめとする代数的な話とは別になります.どの場面がどの式で表されるか,逆にある式を表す場面にはどんなものがあるのかに関しては,教室や,人の頭の中など(モデル)を設定することで決まります.
Sの2つの要素x,yが同等であること(Sの同値関係)を,任意のe∈Eにおいてxとeが対応づけられる(eはxを表す式である)とき常にyとeが対応づけられ,かつ逆も成り立つときと定めます*2.Sの要素として
- s1: 「4こずつ3人に」の場面
- s2: 「3こずつ4人に」の場面
- s3: 3行4列にキャンディを配置した場面
- s4: 4行3列にキャンディを配置した場面
を用意します.国内外の算数教育の観察から得られる知見として,s1, s2, s3, s4の中で同等なのはs3とs4のみです.その一方で,s∈{s1,s2,s3,s4}に対応づけられる式eはいずれも,上述のEの同値関係において"12"と同等となります.以上が,「3×4と4×3,答えは同じでも意味は違う」の数学的な表現です.