わさっきhb

大学(教育研究)とか ,親馬鹿とか,和歌山とか,とか,とか.

ルールと秩序・リレーション

学校教師には,激励するとともにどのような教師が望まれるかをさまざまな事例とともに記し,合わせて学校教育の外にいる読者に向けては,学校そして先生方の現状*1を伝える内容となっており,良んでよかった本でした.
「教師の資質」のまとめは,p.231から18項目のリストになっています.③のレジリエンス(心の回復力)や,⑨の良さ・持ち味(リソース)に目を向けてかかわることあたりは,自分も培っていきたいと感じたものです.


といったところで問題です.

『教師の資質』p.132では,学級のタイプを,6種類に分類しています.その最初は,次のとおりです.

  • タイプ① ルールと秩序◎ リレーション◎

残り5つは,どうなっているでしょうか.

解答の前に補足を.“ルールと秩序”“リレーション”とはどういうことかというと,同じページに「よい学級には、①ルールが守られていて、秩序が保たれている、②心と心のふれ合い(リレーション)がある、の二つの特徴が存在しています」と簡潔に記しています.具体的なところは,それより前で書かれています.「ルールが守られた秩序のある学級の中では、精神的に弱い子でも脅えることなく、安心して暮らすことができます」(p.125)も,大事なところです.
「残り5つ」は何によって決まるかというと,“ルールと秩序”“リレーション”を別のものにするよりは,◎を,○だとか×だとかに替えるのが,自然な発想です.しかし◎○×が使用可能だとすると,3×3で9種類が思いつきます.そのサブセットをとりましょうか.……
では解答です.pp.133-138より,タイプの番号とラベリングだけを取り出しますと:

  • タイプ② ルールと秩序○ リレーション○
  • タイプ③ ルールと秩序○ リレーション×
  • タイプ④ ルールと秩序× リレーション○
  • タイプ⑤ ルールと秩序× リレーション×
  • タイプ⑥ ルールと秩序×× リレーション××

最後は,そうきたかと思いながら読みました.マルよりいいのは2重マル,バツよりダメなのは2重バツ,ですかね.「論外」感が伝わってきます*2
著者によると,タイプ①は教師全体の2〜3%,タイプ①とタイプ②を合わせて20%程度,タイプ③は約30%で20代と50代に多く,タイプ④は最も多くて約40%となっています.
最後2つのタイプには割合を書いていませんが,タイプ⑤は「各学校に一人は必要な、必要悪的存在」(p.137)としています.このタイプの先生は退勤時間が早いので,ほかの先生も「私も!」と同調し,退勤しやすくなることを,理由として挙げています.

*1:変化,すなわち自分たちが教育を受けたときとは違っているんだよ,というのを含みます.例えば(p.64):「(略)日本の大衆文化そのものが底流として変化していく中で,「先生の言うことを聞きなさい」という価値観が、「教師といえども一人の人間。間違ったこともずいぶんやるものだ」という価値観に変わっていったのです」.)

*2:タイプ⑥に該当する教師についても,「私立学校はともかく、公立学校の教師は公務員ですから解雇はできないでしょうが、部活動や授業といった場面で生徒と直に接触するポジションには置かないようにするのがいいでしょう」(p.138)と配慮がなされています.