夕食時に.
「うえの子ちゃんね」
「ん? どした」
「なんかパパみたいやねん」
「なんか…って,何がや」
「今日のプールでな,パパは,さきの子ちゃんとあとの子ちゃんを見てくれてたやんか」
「ああ,見てたけど」
「うえの子ちゃんにね,ビート板なしで泳いでみてって言うたんよ」
「ほお,泳げるんか」
「なしでも泳げんねんけどね,あの子…」
「…」
「さきこれやる言うて,ビート板で練習するんやで!」
「….本人が練習したい言うんやったらええんやないの.何がパパみたいなん?」
「考え方が似てんねん.思考回路っていうか…」
「行動様式,か?」
「そうそう! 前にさぁ,六甲山の人工スキーに行ったやんか」
「実家の母が行こう言うてなあ…何べんか行ったが,いつの話や」
「うえの子ちゃんが生まれる前やったと思うねんけど」
「てことはあれか,実家の母と,兄夫婦と,俺らとで行ったときか」
「せやねん.あのときにさ,パパ,ゲレンデで思うように滑られへんとかで…」
「…」
「練習用の坂のところへ行って,何回か練習してたやんか」
「あ,ああ,そういうこともあったな」
「あなた一人であれやってたときと,ビート板で練習してたうえの子ちゃんが,重なるねん」
「んなこと言われても」