「さてうえの子よ」
「なに,パパ?」
「今日はどこへ行くんやったかな?」
「あっちのおばあちゃんとこでしょ」
「せや.堺まつりもあるし,遊んだらええんやけど」
「あたし,きんぎょすくいしたい!」
「ええでええで.その他にやな…」
「なに,パパ?」
「あっちのおばあちゃんの近所に,おっちゃん夫婦が住んどるんよ」
「おっちゃん?」
「パパの兄に当たる人や.昔,堺東のそばで,お前,このおっちゃんに肩車してもろたんやが,もう覚えてへんかな?」
「おぼえてへんわ」
「そっか.あちらにやな,先日,お子ちゃんが生まれたんや」
「あかちゃん?」
「せやな.お前らには,いとこになるんやぞ.いとこって,分かるか?」
「ともだちみたいなの?」
「え〜,あ〜,友達ではない,親類やな」
「なにそれ?」
「んむ…うえの子から始めるで」
「…」
「うえの子よ,お前には,パパとママがおる.当たり前やな」
「うん」
「パパに焦点を当てると…パパにはさっきも言うたように,兄がおる」
「うん」
「んでその兄に,子どもができた」
「できたんよね?」
「パパと兄とはきょうだいの関係.んで,その子ども同士は,いとこっちゅうねん」
「わかった」
「飲み込みが早いな.もしかしたら今日,そのお子ちゃん,見せてもらえるかもなあ」
「うまれたばっかりなん?」
「せやな.ひょっとしたら,うえの子よ,お前よりも,背が高いかもなあ」
「…」
「んなわけないわ!!」