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大学(教育研究)とか ,親馬鹿とか,和歌山とか,とか,とか.

防災・日本再生シンポジウムに出席

昨日はハピネスチャージプリキュアの最終話を見ながら,スーツなどの準備をし,田辺のBig・Uに向け出発しました.
防災・日本再生シンポジウム「人口減少地域での防災対策、持続可能な地域づくりについて―和歌山大学はどのように地域を支えるか―」に出席してきました.

大船渡市副市長の角田陽介氏による基調講演については,配布資料にカラーのスライドがあり,聞きながら少しだけ書き込みをしました.ハードのみで津波対策をするのは困難であり,ソフトと組み合わせて対策にあたりたいという考え方にはなるほどです.復興支援の一側面として,地籍調査を大船渡市では100%実施済みとのことで,地籍と言えばおととしの情報知識学会年次大会*1で学んだなあなどと思いながら,聞き進めていると,あっという間に最後のスライドでした.
休憩後に,パネルディスカッション.できるだけメモをとりました.

  • 基調講演の感想
    • 大船渡市の防災力は高い.
    • 人が死なないようにする.地域が死なないようにする.
    • 首長(くびちょう)どうしでケータイで言い合えるようにしたい.近くの他人より遠くの親戚.
  • 田辺市の状況(田辺市長 真砂充敏氏)
    • 防災教育を充実させている.
    • 運動会形式で,楽しみながら学ぶ.
    • 参加型の避難マップを運営.
    • 田辺市の地籍調査は,市街地を中心に進めている.
    • 防災まちづくり課を設置.防災とまちづくりは一体で考えるべき.
    • (角田氏)避難先の掲示について,市の設置と,住民の設置とで行き先が異なるものがあり,混乱を招きかねない.
  • 和歌山県の状況(和歌山県都市政策課課長 皆川武士氏.PowerPointで説明)
    • H23紀伊半島大水害で,県内の道路の多くが通行止めに.しかし高速道路は問題なし.
    • 想定する地震は「3連動地震」と「南海トラフの巨大地震」.津波予想は後者が大きい(高さ30mも).串本市で2種類の地震の被害予想マップ.
  • 人口減少と復興(京大教授・和大客員教授 牧紀男氏.PowerPointで説明)
    • 高度経済期の災害だと復興は容易.しかし今後,経済成長は期待しにくい.人口減の中で災害が起こったときにどのように復興していくか.
    • 災害復興によって,市の中心部は人口が増えやすい(復興しやすい).古い家屋をマンションにするなど.
  • 自治体と地域
    • 過去の被災に学ぶ.大船渡市ではチリ地震(の津波).50年の行事を行った翌年に3.11.
    • 災害に強いまちづくりが重要.公営住宅・公民館・民間施設とも連携を図る.
    • 津波タワーがあるから大丈夫,と考えないように
    • 役場においては,書類を失わないことも,職員を失わないことも大事.
    • 事前に検討し,合意形成をしておく,「俺そんなの聞いていない」とならないように.
    • 自助・共助・公助のうち「共助」をどれだけ強くしていけるか.
  • Q(地元高校の教師):高校生が担えること(復興ボランティア以外に),高校生に期待できることは?
    • 高校生の数は多く*2,頼りになる存在.これから数十年,地元はどうなるかを考えてもらいたい.
    • 災害時に“率先”避難者となってほしい.万が一の時に自分は何ができるか(何をしてもらえるかではなく)を考えておく.

田辺市の避難先の掲示に関連して,「避難場所」と「避難施設」は異なるという発言もありました.帰宅後に調査…釧路市*3によると,「避難場所」は火災・津波などから身を守るために避難する場所のことで,「避難施設」は住居など生活の場を失った人を収容し保護するための施設とされています.なのですが,「避難施設」ではなく「避難所」と書く自治体情報もあります*4.名称よりも,保護を受けるときや期間に注意して,災害が発生したらどう行動すべきかが,大事と思われます.
さて,意見交換を聞きながら,フロアからの質問タイムになったときに,自分はどんな質問ができるだろうかと思案しました.
結果として手を挙げなかったのですが,1つ,思いついたのは,和歌山県でも田辺市でも,日本全体でも答えが出せそうな話で,防災・復興にあたっての「弱点」は何だろうか,です.
とはいえ県も市(自分の場合は和歌山市)も,自分にとっては広大な存在です.我が家レベルで振り返ると,家族との対話や近所づきあい,幼稚園・保育所の案内などのおかげで,災害が起こったらまず何をするか,そして避難所生活を余儀なくされたらどう生活していくかについては,ある程度,アクションがとれそうです.
しかしそれより前の意識と言えばいいのでしょうか,コストをかけて準備をしても,大きな地震が来たら,大きな津波が来たら,大きな火災が発生したら,それで自分の人生おしまいだという,「あきらめ」の感を,会話をしていて抱くことがあります.我が家レベル,あるいは素朴な発想として,弱点を挙げるならここかなと,思い至りました.
この種のあきらめ・絶望感について,連想したのは,ハピネスチャージプリキュアなのです.本記事を書くにあたり,最終回とその前のダイジェストを見直しました.

地球上で雑魚敵や幹部などとバトルを繰り広げ浄化させてきたキュアラブリーらが,惑星レッドに飛ばされ,怒りと絶望に満ちあふれるレッドと闘います.「この世界は最悪だ…どれほど幸せを掴んでも、最後には消えてなくなる」という,レッドのセリフがもっとも顕著です.それに対し,「私は皆から貰った力で、全ての愛を守りたい」と言うのは,進化したラブリー,その名もフォーエバーラブリーです.
そこで「愛」はアニメ向けの用語選択であり,他のセリフや,いくつかの場面から思い浮かぶ,世の中向けのメッセージは,「人のつながり」です.選択できないままこの世に生を受け*5,これからどうするかは,自分で決めていきます.そして責任を本人がとることになります.
それぞれのキャラクターや人間関係を楽しませてもらいながら,ハピネスチャージプリキュアは大団円を迎えました.
人生はアニメと違って,予定調和のエンディングとはいきません.子らのおもちゃ箱に固められた,プリキュア関連グッズを目にしつつ,自分や大学・地域のこれからと,そして娘たちのこれからのこと---これから1年で,また新たなプリキュアのグッズが山積みになるのだろうなとも---を,考えときには形にしようと思う,防災シンポジウムとなりました.


おまけ.受付で封筒をもらう際に「お名前の席がありますので」と言われ,座席を探すと,1列目*6の入口に一番近いところでした.

(最終更新:2015-01-28 朝)

*1:http://www.jsik.jp/?2013program

*2:高校卒業後に大学・就職で,地域の外に出る人が多いため,「若者」というと18歳以上〜20代よりも,高校生が目立つことになるとのことで.

*3:http://www.city.kushiro.lg.jp/bousaikyu/bousai/hinan/0004.html

*4:例えば新宿区:http://www.city.shinjuku.lg.jp/anzen/file03_00022.html

*5:主人公・めぐみが,プリキュアになったきっかけも,どちらかといえば受動的です.最終話の終わりに少し,出てきました.

*6:そして最前列でした.1列目と最前列が違う件について:http://d.hatena.ne.jp/takehikom/20071207/1196977869#20071207f1