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オワハラ

先週の話です.学内の進路・就職関係の部局の方より,全教員宛てに,就職活動の「終われハラスメント」に関する,注意喚起のメールが届きました.
添付ファイルを見ても,ピンと来なかったので,自分なりに調べてみました.まず衆議院議員 小林史明氏によるYouTube動画が目に留まりました.

途中に,オワハラの定義が書かれてあり(1分16秒),問題の所在が分かりました

「就職終われハラスメント」とは、
企業の採用担当者等が、威圧的と思われる言動や、
応募者の不安感を煽るような言動によって、
応募者に就職活動の終了を強要し、
彼らの自由な就職活動を阻害することを意味します。
それが明確な阻害的行為でなくとも、
応募者が就職活動の終了を強要された
と感じる言動であれば、
これに該当します。

事例については,別の情報から.

就活終われハラスメントの具体的内容を箇条書きにして整理すると、以下の様になります。

  • 「この場で電話して他社の内定を辞退しろ」と強要する。
  • 立て続けに面接や懇親会などの日程を入れ、就活生の就職活動を妨害する。
  • 歓待の名目の旅行で長期間拘束して、他社の面接を受けさせない。
  • 「内定を辞退したらどうなるか分かってるよね?」などと脅す。
http://mjdsk.jp/1705

他にも.

背景はというと.

中堅・中小企業の採用に詳しい就職情報会社「学情」は「今年の就活は学生側の売り手市場になっており、8月に控える大手企業の選考に流れる学生が増えることを止めたい中堅・中小企業が、人材確保のために提出を求めている」とみている。

就活オワれハラスメント? 企業から内定学生に「大学の推薦状」要求相次ぐ(1/2ページ) - 産経WEST

「8月に控える大手企業の選考」は…これのことですね.

ピンと来なかった理由が,つかめてきました.学生を指導していると,1〜2年に1人くらいの頻度で,内定が出たので推薦状を発行してほしいという要望を,学生を通じてもらっています.これまでそういったリクエストには「内定出て良かったね.じゃあ推薦状を書こう/学科長より出してもらうよう,手はずを整えよう」と喜んで対応していました.
しかし2016年度採用に関しては,そのような推薦状を出せば,今年より後ろ倒しになった,8月からの大手企業の選考・採用に,その学生が関われなくすることを,本人・指導教員・大学が認めたことになるという,暗黙の意思表示になるというのです.
昨年度までは,早期(4〜5月)に内定を出すのが大手で,6月以降は非大手という風潮が高かったようにも記憶します.「早く内定もらえて良かったね」という言い方は,今年度そして今のタイミングでは,必ずしも適切でないわけです.
制作されたYouTube動画や,各種報道・まとめは,内定をちらつかせた囲い込み,推薦状の発行要請を含め,「採用選考に関する指針」非対応企業からの圧力に縛られるなというメッセージとなっています.
「ハラスメントは相手が悪い,あなたは悪くないんだよ」「圧力に屈せず,就職活動は自由にやればいいんだ」といった,メッセージの作りやすさとは裏腹に,内定を得てなお活動する学生,内定をもらえていない学生,就職から進学へ切り替えたいと考えている学生など,それぞれが,就職活動と学業をどのように両立させればいいのかについて,納得できないまま日々行動しているのには,「外の者」だからこそ,何らかの協力ができないか,と考えます.
研究室で指導する立場として,できることは…研究ミーティングのあとに「研究の話ではないんだけど」と切り出して,ゆるく,就職の状況を聞くことでしょうか.その中でもし,ハラスメントに該当する,あるいはその可能性のある状況を耳にすれば,学内キャリアセンターに相談するとしましょう.

(最終更新:2015-06-21 晩.内々定→内定((内々定と内定の区別は,[wikipedia:内定]に書かれている「新卒就職における協定上、内定式以前であれば「内々定」であり、内定式以後であれば「内定」となる。」が最も明瞭なのですが,学内では,内定式より前でも当たり前のように「内定」と言っているので,こちらに統一しました.)))