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13個の求め方

いきなりですが問題です.以下の絵で,○の数を求める式をつくり,図にかき足して,なぜそうなるかを説明してください.

先日,うえの子(小1)の授業参観に出席してきました.教科は算数で,上はその授業で出された問題です.なお,実際の絵は○ではなく,ななめから見たブロックの並びでした.児童らは1人1枚ずつプリントをもらっていたほか,大きめの画用紙にも同じ絵が貼り付けられていまして,各班で1枚ずつ持ち,黒板に掲示して理由を説明していました.「かき足し」に関して,先生は色鉛筆の使用を認めていました.
そういえば,子どもたちの答えや,先生の伝えたいことは,すべてチョークで書くとは限りませんでした.画用紙にあらかじめ書いておいたものを,黒板に貼り付け,小さなマグネットで留めている姿を,たびたび目にしました.答案やメッセージを動かせる*1,ローテクなツールってわけですね.式のほか,この授業のテーマとなる「かんがえをつたえる」は,チョークで書かれました.
といったところで解答です.もっとも素直な考え方は,以下の図(またはその転置,または90度回転)でしょう.

縦に塗り分ければ,個数を左の列から順に取り出すことができ,式は1+3+5+3+1=13となります.
自力解決,そして机を動かして4〜5人の班での話し合いを見ながら,自分なりに「ひねくれた」求め方を3つ,頭の中で思いつきました.
ひとつめ:2+2+2+2+2+2+2+1=13.

ふたつめ:9+4=13.ななめの応用です.

みっつめ:25−3−3−3−3=13.

班の中でどれを発表するかを決め,手分けして画用紙に塗り分けが終わったら,子どもたちは黒板に行って掲示し,その下に式を書いていました.また先生サイドでは「おなじものはどれ?」「ちがうものはどれ?」と書かれた横長の画用紙も用意していて,合わせて掲示されていました.
「おなじもの」すなわち複数の班が挙げたのは,2つありました.その1つは,以下のように3つのパートに分けて,式は4+5+4=13です*2

もう1つは,どうやら「10をつくる」というアプローチです.10と残りに分かれまして,式は10+3=13です.10が自明ではありませんが,数えれば確かに10個です.ここに手間をかけておけば,あとは繰り上がりも生じず計算は簡単,といったわけですね.

この絵をめぐって,ちょっとした騒動が巻き起こりました.これを掲示した1つの班が,式には4+5+4を書き始めたのです.
班の他の子や,親*3の「違う違う!」の声もあり,黒板上では制限時間ぎりぎりのところで,10+3=13に訂正していました.
状況としては,その班の話し合いの結果,10と残りに分けるという1人の子の塗り方が採用され,その塗り方をした子が,式は他の子のを採用して書いてしまったと思われます.
しかしそのような図(塗り分け)と式のペアでは,先生が用意してあったテーマの「かんがえをつたえる」という点でも,そういったテーマを考慮せず見た人にとっても,「?」になってしまうところでした.
こんなハプニングまで含めて,45分ではありましたが,クラスの子どもたちが1つの問題に取り組む光景を見て楽しむことができました.

(最終更新:2016-02-04 早朝)

*1:黒板上の移動だけでなく,先生が手に取って児童の側に強調表示することもできます.

*2:「3口のたし算」「さくらんぼ(繰り上がりのあるたし算)」も含まれています.とはいえそういった名称については,先生からも子どもからも発言がありませんでした.かわりに,1+3+5+3+1=13の式において,1+3(=4),4+5(=9),9+3(=12),12+1=13と,先頭から順に足していき,途中の和を書いて線で結ぶという図式に対して,「さくらんぼ」と,何人かの子どもが口にしていました.

*3:班の話し合いでは,参観者がそばに近づいて見聞きしていいというルールになっていました.もちろん自分も,うえの子のところへ行き,班では無難な解答にしていました.