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「たし算の順序を変えても答えが同じ」をアクティブラーニングで

いきなりですが問題です.

たし算の順序を変えることのできる文章題を作ってください.

上の文だけでは,その順序が交換法則(□+△=△+□)に関するものか,結合法則(□+(△+○)=(□+△)+○)に関するものか,曖昧ですので,本日は結合法則に関するもの,と限定しておきます.
元ネタです.

といったところで解答例です.この本のpp.120-121では,「何をまとまりにしたのかな」と題して,第2学年の授業を提案しています.文章題を子供たちがつくるのではなく,教師から提示します.具体的には,黒板に,書いておいた以下の3つの紙を貼ります.

校ていで1年生が7人と
2年生が12人あそんでいます。

あとから2年生が8人きました。

校ていには,みんなで何人いますか。

答えは27人です.式はというと,はじめに遊んでいたのは7+12=19で求められ,あとから8人来たというので,19+8=27になります.1つの式で表すなら,(7+12)+8=27です.
その一方で,この問題では,「1年生の人数」と「2年生の人数」に分けて,計算することができます.1年生の人数は,7人です.2年生の人数は,はじめに12人,あとから8人ですので,12+8=20で求められます.合計は,7+20=27です.1つの式で表すと,7+(12+8)=27です.
この授業では,加法の結合法則も,増加や合併*1も出現しません.上で書いたとおり「何をまとまりにしたのかな」を考え,また発表してもらうことになります.p.122でT1が発した「( )の位置が違うと,まとまりの意味が違うのですね。」が,全体の学び合いのまとめとなっています*2


今回取り上げた本では,実践例に行くまでの説明が長いようにも感じました.そんな中で,我が子の宿題を自宅で見ているだけでは知ることのできない,授業を通じて学ぶことの意義を,読むことができました(p.29).

授業で大切なのは,教師の指示通りに問題解決の過程を子供に追わせることではなく,子供が主体的に問題に取り組んでいく中でこの過程を経験することである。このような問題解決の過程を繰り返し経験した子供は,「先生にやり方を教えてもらったから問題が解けるようになった」という思いから,次のような思いに変わっていくことが期待される。

①自分で考えて問題がとけるようになりたい。自分が考えて解けるとうれしい。自分で考えればできる。(自立)
②自分だけが問題が解ければよいのではなく,クラスみんなが解けるようになりたい。そのために友達がわかる説明ができるようになりたい。逆に,自分がわからないときはわからないと積極的に言おう。言えばクラスの友達がきっとわかるように説明してくれる。(協働)
③クラスのみんなで考えれば,自分の考えもクラス全体の考えもよりよくなる。また新たな考えも発見できる。(創造)

上記は小学校算数に限定する必要がなく,「子供」を「学生」に変更などすれば,大学で自分が担当している授業や,研究室の指導にも活用できそうと思いました.

*1:加法の意味は増加と合併,というのを,2つの「3口のたし算」にあてはめると,いずれの式でも,左の「+」は合併で,右のは増加となっています.

*2:ところで,p.123にはいわゆる適用問題として「まことさんは,赤い色紙を15まい,青い色紙を14まいもっています。あとから青い色紙を6まいもらいました。色紙は全部で何まいになりましたか」を挙げています.メインの問題もこの問題も,後のたし算を先にすると,一の位が0になります.繰り上がり計算を間違えにくくするため,いくつもあるたし算は順序を変えて計算してよい,という展開にもできそうに思えたのですが,本文中でとくに言及はありませんでした.