組体操を扱った雑誌を調べているうちに,明治図書が発行している「楽しい体育の授業」の2015年9月号と2012年9月号の存在を知りました.
それぞれのページの「ブックストア」のボタンより,電子書籍版を購入できます.2015年9月号を購入したのは,ほぼ1か月前*1で,この表紙のカラー写真,グラウンド上でマットを敷いてサボテンをしている光景が,「体育科教育 2016年 05 月号 [雑誌]」p.7*2のカラー写真と一致していたからでした.これは筑波大学附属小学校の組立体操の光景とのことで,両誌に,同校教諭の平川譲の名前があることから,この方がそれぞれへの写真提供に関わったと判断しました.
以下では,「楽しい体育の授業」2015年9月号と2012年9月号の比較をしていきます.ともに,組体操だけでなく,運動会を盛り上げるためのノウハウが,多くの人による記事によって構成されています.
2015年9月号では,2人技の「すべり台」「かめ」「ミニタワー」「倒立」「肩車」「サボテン」,3人技の「スター」「3人サボテン」「3人タワー」,6人技の「一気立ちピラミッド」,5人技の「グライダー」「桃太郎」「5人扇」,10人技として「ブリッジ」「ツリー」,団体技の「花+人間起こし*3」「(6段で三角錐型の)ピラミッド」という順に,いずれもモノクロ写真と文章によって紹介され,その後には演技の流れや指導法が記されています.
2012年9月号では,1人技の「V字バランス」から指導が始まり,次は長座の姿勢からの「肩倒立」です.2人技の「肩車」「サボテン」,3人技の「飛行機」,5人技の「扇」,6人技の「3段ピラミッド一気立ち」が,イラスト・モノクロ写真・文章によって解説されています.多人数技の解説は見当たりませんでしたが,飛行機・4段俵型ピラミッド・3段タワー(円塔)を横に並べたイラストや,横長にした「全員ピラミッド」などの写真を,見ることができます.
2誌の小さな共通点として,肩車のペアの決め方を挙げることができます.もちろん,背の高い方が下の人,低い方が上の人になるのが基本ですが,児童らを背の順に並べた上で,真ん中から2つに分け,最も背の高い者は,背の低い前半分の中で最も高い者とし,順に割り当てることを提案しています.
より具体的な指導法では,違いが見られます.練習中,各児童らに順に点数を言っていく「個別評定」が,2012年9月号では複数の箇所に出現しますが,2015年9月号には,見当たりません.
もっと言うと,2012年9月号には表紙に向山洋一・根本正雄の名前が出ておりまして…そこから思い浮かぶのは,「TOSS」です.
明治図書のサイトで,「楽しい体育の授業」のバックナンバー*4を見ていったところ,2015年4月号から,「脱TOSS」になっていると,判断して良さそうです.その一つ前となる2015年3月号のいくつかのタイトルが,「楽しい体育の授業」における向山型体育の総括そして訣別を,うかがい知ることができますし,加えて,この号まで,TOSS体育ニュースというのが入っています.
組体操とは別に,2015年9月号には「ゲタゲタレース」というのが紹介されています.要はムカデ競争です.この競争による事故が報道されたのは…朝日新聞ではこの号よりあとの2015年10月15日付(http://www.asahi.com/articles/ASHBG5FJ2HBGUTIL03B.html)です.
ゲタゲタレースの木げたは自作で,4人用です.人数を3〜4人にすることで,ムカデ競走がより安全に行えるのか,それともケガの発生状況が変わらないのか,少し気になってきました.
(最終更新:2016-05-15 早朝)
*1:http://twilog.org/takehikom/date-160416
*2:ただし,該当ページにページ番号は振られていません.
*3:二重の円の中で,http://d.hatena.ne.jp/takehikom/20151005/1443981007で紹介した「トラストフォール」を行っています.今月,動画を見たのですが失念しました….
*4:http://www.meijitosho.co.jp/edudb/title.asp?series=%8Ay%82%B5%82%A2%91%CC%88%E7%82%CC%8E%F6%8B%C6