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連続量のトランプ配り

いきなりですが問題です.

連続量に対する等分除でも,トランプ配りのやり方は適用できるのでしょうか?

トランプ配りについては,先月,記事を作成しました(わり算,包含除・等分除,トランプ配り (2016.05))のでご覧ください.本記事はその発展であると同時に,7.2÷3は?分離量と連続量,かけ算とわり算の内容も一部,使用して,知識の再構築を図っています.
といったところで解答です.できる場合と,できない場合が考えられます.
最初に一つ,「連続量に対する等分除」の場面を設定します.

7.2リットルの液体があります.
3つの容器に,同じ量になるよう分けます.
1つの容器は何リットルになりますか.

これだけだと,トランプ配りができそうにありませんが,1行,追加してみます.

7.2リットルの液体があります.
ちょうど0.1リットルを測りとる計量カップを使って,
3つの容器に,同じ量になるよう分けます.
1つの容器は何リットルになりますか.

そうすれば,3つの容器を横に並べてから,最初の0.1リットルを左の容器に,次の0.1リットルを真ん中の容器に,その次の0.1リットルを右の容器に,そして左に戻って…という操作で,順番に0.1リットルをとっていき,もとの液体がなくなれば,それぞれには計量カップの0.1リットルを24回ずつ,入れましたので,1.0×24=2.4リットルとなることが分かります.計量カップを使わないなら,式は7.2÷3=2.4で,答えの2.4リットルが一致します.
最初の場面から,数値を変更してみます.

7.3リットルの液体があります.
3つの容器に,同じ量になるよう分けます.
1つの容器は何リットルになりますか.

これもまた,トランプ配りができそうにありませんが,やはり1行,追加してみます.

7.3リットルの液体があります.
ちょうど\frac{1}{30}リットルを測りとる計量カップを使って,
3つの容器に,同じ量になるよう分けます.
1つの容器は何リットルになりますか.

分け方は…書かなくてもいいですよね.
いずれにおいても,与えられた量に対し,適切な単位量をとることができれば*1,配ることができます.
適切な単位量というのは,与えられた量と,その最小単位,そして分ける数に依存します.「7.2リットルを3人で分ける」場合には,7.2が3で割り切れるから,7.2リットルの最小単位である「0.1リットルの計量カップ」があればOKなのに対し,「7.3リットルを3人で分ける」場合だと,7.3は3で割り切れないので,計量カップの単位量は,0.1リットルを人数でわることで,「\frac{1}{30}リットル」となる次第です.
より正確には,等しく分けた1つ分を,既約分数にしたときの分母単位分数です.「7.2リットルを6人で分ける」「7.3リットルを6人で分ける」「7.4リットルを6人で分ける」という3つの場面で,その量は順に\frac{1}{10}=0.1リットル,\frac{1}{60}リットル,\frac{1}{30}リットルとなります.


「連続量のトランプ配り」で検索したところ,次のページを見つけました.

Amazonからだと:isbn:433747837X.2004年刊ですが,Googleブックスで先頭から見ていったところ,目次のあとに「この本は『除法の導入と素過程』(算数わかる教え方学び方17)として,1985年に小社(引用者注:国土社)から刊行されました.」と書かれていました.
それと,7.2リットルや7.3リットルを何人かで等しく分ける場面は,「連続量÷分離量」であり,対応するかけ算は「連続量×分離量=連続量」です.小学校で(用語は別として)学習させるなら,小数であれば4年,分数も使用するなら5年でしょうか.
「連続量÷連続量」について,「7.2リットルの液体があります.2.4リットルずつ,容器に入れて製品にします.液体の入った製品はいくつできますか.」のような包含除を考えることができます.計算そのもの(7.2÷2.4=3)は5年ですが,7.2−2.4−2.4−2.4=0や2.4×□=7.2といった式で求めるのであれば,4年でもできます.分数が入れば,1学年ずつ上です.

(最終更新:2016-06-14 昼)

*1:「ある単位量を用意しておけば,どのような量が与えられても」ではありません…これだと,連続量に見せかけた分離量です.