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組体操解説動画の最先端

著者名で検索すると,この本を紹介するYouTube動画が見つかりました.

本の中身ですが,同じ著者による『[isbn:9784091067418:title]』と同様に,モノクロのイラスト・写真そして解説で構成されています.補助倒立に3ページ(pp.10-12),また肩車に2ページ(pp.14-15),サボテンも2ページ(pp.16-17)とって,しっかり解説しています.

これまでの本で見かけない技として「バベル」があります(pp.8-9).2人技で,まず下の段の人は,お腹を上にし,両方の手のひらと足の裏だけを床につけます.上の段の人も,完成形では同じ姿勢になりまして,両足は下の段の膝の上,手のひらは下の段の肩のところに置きます.3人による「バベルピラミッド」をはじめ,この姿勢を用いた(そして「バベル」を技名に含む)アレンジ技も,いろいろなページで紹介されています.
ピラミッドについては,段数は3段まで.「ポップアップピラミッド」のほか,二段目着地型*1の6人ピラミッドを作ったあと,最下段の端の2人が抜けた「ウイングピラミッド」と,さらに最下段の真ん中の人も抜けた「スカイピラミッド」というのも,p.42で見ることができます.
ところで,この本にはDVDがついていません.かわりに表紙やジャケットにもあるとおり,ネットアクセスを通じた動画で,技や解説を見ることができます.アクセスの方法は,本を購入してご確認ください.
動画サイトには指導・技集・作品集で合わせて60本近くの動画がリンクされています.PCで見る際には,要Flash Playerとなっています.なお「Android4以降はFlash Playerのインストールの必要はありません」と書かれており,実際,Android 6のスマートフォンで動画を見ることもできました.
「指導」に収録されている動画は,どれも,まず技の完成形,次に「解説」として同じプレイにメッセージをつけ,それから「安全指導」としてもう一度再生しながら,ときには場面を静止し,ポイントを示しながらより細かい解説をしています.
ナレーション(語り)はなく,穏やかなBGMの中で,児童(大部分が女子)が黙々と演技をこなしていきます…と思いきや,サボテンでは下の者が「声をかけて手を離す」こととし,動画でも,声をかけているのが見て取れます.
ピラミッドは,1つの動画に,「3人ピラミッド(二段)」「6人ピラミッド(俵積み型)」「6人ピラミッド(二段目着地型)」の3つが収められています.3人ピラミッドでは上の段の人は立ちますが,6人ピラミッドでは2種類とも,最上段の人は立ちません.それと,3分ちょうどに出てくる「三段目の肩を引っ張りすぎるとバランスが崩れるので気をつける」は,「二段目の…」ではないかと思います.
「技集」の最後は「親子組体操」で,3分半ほどの動画の中で様々な技が出てきますが,1分48秒ごろから始まる「ハイヤーハイヤー」という技は,親子のふれ合いを通じて,組体操のようなバランスをとり楽しくできるのですよ,といった話でイラストを見てきたシーンが,動画になっていました.
そんなこんなで楽しく見せてもらった動画でした.要インターネット接続なのには注意しつつも,コストパフォーマンスは,先日紹介した4本のDVD(安全で楽しい組立体操の基本)よりも,この1冊のほうが勝っていると思います.


本の「はじめに」(p.2)より,組体操の実施と危険性に関する著者の検討を取り出します.

どの教科でも、指導にあたる際には教材研究を行い、児童観と教材観を踏まえて指導観を立てます。技(教材)自体が危ないのではなく、児童の実態をとらえず、指導の手立ても確立せず、しっかり指導観を持たずに指導している状況が、大きな事故につながってしまったのではないでしょうか。組体操で味わえる充実感、自己肯定感、仲間との一体感を先生方は知っています。一部の危険な取り組みによって、組体操自体が危険だという論点の違いに困惑しているのが現状だと思います。

ここは「読み手を選ぶ文章」に思えました.悪い言い方をすれば,教材研究をしない,児童観・教材観・指導観を考えない,学校の先生以外の人---私も該当します---は,お断りの本ですよ,となります.
それはそれとして,4つの文が起承転結になっているのは,興味深いところです.
他の情報源と照らし合わせて,気になることがあるのですが,今後そこを掘り下げて,記事にできるかどうか,何とも言えません.

*1:http://d.hatena.ne.jp/takehikom/20160619/1466333909に書いた「変則俵型」のことです.