わさっきhb

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一目見て14個

いきなりですが問題です.

14個のおはじきがあります.
このおはじきを「一目見て,14個」と分かるように,並べましょう.

元ネタは,次の本のpp.18-20です.

さっそくですが解答です.1年生の算数の授業,と限定すれば,「10のまとまりの個数と端数という数え方」*1をもとにして,次のように並べるのが,もっとも自然な方法でしょう.

○○○○○○○○○○
○○○○

言葉にするなら,「10と4で,14」です.
今回読んだ本には,すさまじい別解が載っていました(p.19).次の並べ方です*2

その授業では,いわゆる自力解決として子どもたちが机の上で並べてから,先生(≠著者)が何人か指名し,指名された子は黒板にマグネットを並べます.14個のおはじきを使って,14の形にしたという解答に対し,先生のリアクションは「全くもって不機嫌」と書かれています.
ところで,14の形にした,というだけなら,12個のおはじきでもできます.「4」の縦線の部分を,「1」と同じく,4個のおはじきで並べればいいのです.ついでにそうすると,行の位置が揃います.
上の14の形では,十の位の「1」を4個のおはじきで,そして一の位の「4」を10個のおはじきで,表現しています.数の構成としては,十が1個と一が4個であるべきところ,個数を表す2つの数がクロスしている点が,著者にとって面白かったのでしょう.
著者はp.19で子どもの考えをトレースする中で,「そうか、こうしたらどうか。十の位を四個のおはじきで縦に並べる。一〇個のおはじきで四の数字を描く。これだったら一目で一四と、だれでもわかる。自信満々の回答*3ができた。」と記述しています.大人モードで読んでいくにあたり,「十」と「一〇」(原文は縦書き)を使い分けているところも,見逃すわけにいきません.


算数の問題・解答をもとにしたエピソードは,他のページでも見ることができます.「たて10cm,よこ10cm,高さ20cmの直方体の表面積」を求める問題(pp.20-23)で,10×10×10=1000(㎤)と式を立てる子の分析は,かけ算って楽しいね*4と好意的に受け取れましたが,「自動車が1台止まりました.自動車の後ろのほうに,チョウチョが2羽飛んできて止まりました.みんなでいくつでしょう」(pp.75-76)の件は,オチまで読んだ上で,好感を持てませんでした.
教師と子どもの人間関係の表(p.169)は,どこかで使えるかもしれません.箇条書きにしておきます.

  • 教師が意図して働きかけ,子どもも意図して受けとめる…指導
  • 教師が意図せず働きかけ,子どもは意図して受けとめる…感化
  • 教師が意図して働きかけ,子どもは意図せず受けとめる…模範
  • 教師が意図せず働きかけ,子どもも意図せず受けとめる…影響

*1:http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2009/06/16/1234931_004_2.pdf#page=4

*2:図作成のワンライナーは:convert -size 280x280 "xc:#efe" -fill none -stroke black -strokewidth 2 -draw "circle 40 30 30 20 circle 40 105 30 95 circle 40 180 30 170 circle 40 255 30 245 circle 195 30 185 20 circle 195 75 185 65 circle 195 120 185 110 circle 195 165 185 155 circle 195 210 185 200 circle 195 255 185 245 circle 150 97.5 140 87.5 circle 105 165 95 155 circle 150 165 140 155 circle 240 165 230 155" -quality 95 14.png.原文では,4の縦線を構成する6つの○は均等に並んでいません.

*3:原文ママ

*4:「たて10cm,よこ10cm,高さ20cmの直方体」を構成する6つの面から,「たて10,よこ10cm」の正方形を,過不足なく10個,とることができます.なお,現行の学習指導要領では,「表面積」は中学1年で学習します(小学校に出てくるのは「底面積」です).