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Bring Your Own Laptop---広島大学の事例

  • 天野由貴: 国立大学のノートパソコン必携化とその課題―2年目のBYOL―, 情報処理, Vol.58, No.2, pp.130-134 (2017). http://id.nii.ac.jp/1001/00176537/

リンク先に飛ぶと,少しドメイン名が変わりまして,情報処理学会電子図書館の記事ページになります.非会員も0円なのかと思っていると,「2019年01月15日からダウンロード可能です。」と書かれています.会員ですのでログインして,PDFファイルを読みました.
著者所属や抄録からも分かるとおり,広島大学でのノートパソコン必携制度の取り組みを紹介しています.「必携化」というと,Bring Your Own Device,略してBYODですが,この報告ではこの語を背景で述べたのち,広島大学の学部*1新入生2,500人を対象に,「BYOL = Bring Your Own Laptop」として必携制度を始めたとのことです.
ノートパソコンの機種ですが,大学側で基本要件を提示した上で,「学生は入学までに準備し,授業などで指示のあった場合は持参する」(p.131)となっています.要件として,まずOSは「WindowsまたはMac」です.同じページに,iPadなどのタブレットではなくノートPCを指定する理由も記載しています*2.ソフトウェアについては,Microsoft Officeコンピュータウィルス対策ソフトウェアが軽快に動作することを挙げています.
学生が個々にノートパソコンを選択・購入するのは,大変な話で,そこは大学生協が関わっています.大学生協では基本要件を満たすものを,WindowsMacで1機種ずつ選定し,販売しています.2016年度新入生のPC購入状況は,p.131で円グラフになっていまして,生協のMacが1,004台,生協のWindowsが853台,生協以外(OS不明)が599台です.
大学生協は,単にノートパソコンを売るだけでなく,初期講習会も実施しています.「Office・ウィルス対策ソフト・電子教科書ビューアのインストール」「Wi-Fiの設定」「学生ポータルサイトへのログイン」「Office365へのログイン」が,主な内容としてp.132に列挙されています.入学式の後から授業開始までの4日間に,初期講習会を18回開催したというのには驚きです.
自分のところでも,この4月からの学部入学生はノートパソコンを購入し,授業などに持参してもらいます.検索したところ,ノートパソコン等の情報端末の活用と準備について | 和歌山大学には「本学では、受講登録(時間割の作成・登録)やレポート及び論文作成・提出、資料配布など多くの機会でパソコンを利用しています。平成29年度より更なる学修環境の向上のため、個人所有のノートパソコン等の情報端末を授業で活用する取組を予定しています。このための準備(購入等)が入学後に必要となります。」とあり,詳細未定,ただし入学手続き時に案内すると添えられています.学生募集要項でリンクされている,平成29年度一般入試学生募集要項(全学部)のPDFファイルでは,p.51に同じ趣旨のことが書かれています.
あらためて自分はというと,1年次の情報処理科目に対応できるよう,教材を見直すとともに,授業での利活用について,先生方から問い合わせがあれば対応できるよう,準備していかないといけません.広島大学の状況は,学生数などに違いがあるとはいえ,先行事例として役立てていきたいところです.

*1:どこの学部かは,書かれていなかったので,「すべての学部」と読むべきでしょう.大学院の入学生は対象外,と解釈することもできます.

*2:要約すると,「Windows指定の授業・学科がある」「キーボード入力に慣れてほしい」の2点です.