某年月日,うえの子の授業参観に出席しました.
教科は国語です.教材をもとに「おかげさま」という言葉を学習し,また事前にどういうことが「おかげさま」なのかを,クラスの子どもたちがそれぞれ,文字と絵で表現していました.
参観した授業では,先生がおさらいをしてから,前向きだった机を移動・回転させて4〜5人のグループを作り,グループ内で発表者を決め,順に前に出て発表していました.
参観者が多く,グループディスカッションのとき,私はうえの子の背を遠くから見る状況でした.そのグループでは,3人がある男の子を指差し(指された子とうえの子が指さず),発表者が決まっていました.
机を戻してから,合計8人が順に発表しました.メモはとっていませんでしたが,食べ物が食べられること,宅配便で配達してくれること(通学路中にクロネコヤマトがあるのが影響?),空気が吸えること,地球上でみんな仲良しなこと,などがありました.1人でたくさんの項目を挙げている子や,しっかりした字で書いている子が,多かったように思います.
残り3分,まだ1人くらい,発表できますねと先生が言ってから…なんと,うえの子を指名しました.
クラスメートからも保護者の方からも,注目を浴びながら,前に出て発表しました.項目数も,イラストも,他の発表した子ほど多くも,多彩でもなかったのですが,挙げた項目の一つに,予想外の表現がありました.「むかしのくるしみにかんしゃ」です.
昔の人が苦しんでやりとげたことが,今の我々の豊かな生活につながっている,これぞ「おかげさま」,といったところでしょうか.
それまでの発表との違いを,見ることもできます.そこでは,現時点における空間的なつながりを挙げていたものばかりでした.それに対し,うえの子の指摘は,時間的なつながりと言っていいでしょう.
拍手を受けて,うえの子は席に戻り,ちょうどチャイムが鳴りました.
授業参観に出席するのは1年ぶりです*1.今回も授業が終わると,子らは講堂へ行き,教室の子どもの席に保護者が座って,担任の先生との懇談会となりました.
はじめに先生より,クラスの状況を聞きました.
途中で,授業中のグループディスカッションと同じように(机の移動はしませんでしたが),保護者どうしで,自分の子どもがふだん,何を頑張っているかを紹介し合うことになりました.「…いや,頑張ってないんですよね」という,男の子のお母さんから始まり,そこそこ盛り上がりました.
担任の先生は巡回し,誰々くんはといった形で,学級の様子を伝えていました.
こちらのグループに来た際には,トリを務めたうえの子が,話題にのぼりました.「おかげさま」の事例と絵について,あらかじめ先生はすべてに目を通していて,うえの子がグループから発表者に選ばれなかったとしても,時間をとって前に出てもらおうと考えていたと,打ち明けられました.
それでは,こちらも…
「どうもありがとうございます.あの,『むかしのくるしみ』の件ですけど,実は我が家では最近,『おしん』のDVDを観ていまして,それが影響したんだと思います」
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ふだんからそんなのを観ているんですか,いや1週間レンタルばかりで,と,やりとりしたあと,ある男の子のお母さんの「うちなんて,天才バカボン借りてきてって言うんですよ」に大笑いし,そこでグループディスカッションはお開きとなりました.
*1:http://d.hatena.ne.jp/takehikom/20160203/1454448224
*2:帰宅して妻に話すと,うえの子には,「へえ,みんなの前で発表したんや!」と喜びを伝え,子らがいないときにはしんみりと,「『おしん』(を観た)だけやないんやけどね」と言っていました.