食卓にて.
「ねえパパ」
「うえの子か,どした?」
「学校でね,○○くんが,おも白いこと言うんやで」
「ほお,どんなんや?」
「一万円さつを,わたしていくんやけど…」
「お札かいな…」
「『一万円』(と言いながら手を右から左へ)」
「『一万円』(と言いながら手を右から左へ)」
「『一万円』(と言いながら手を右から左へ)」
「『ぜんぶで三万円や』,やで!!」
「ふむふむ…それは,吉本新喜劇のギャグかな?」
「うん,そう言ってた」
「わりと新しいほうかもな,今の」
「そうなん?」
「パパが覚えている,今はあんまし見ることでけへんギャグいうたら…」
「なになに?」
「あれがええかな.えっと,劇っちゅうのは舞台の上でやるやんか(手を左右に広げて)」
「うん」
「ほいでな,途中にケンカのシーンになったりするんや」
「…」
「ほんまに殴るんやないんやが…」
「ボケ役がな,殴られて,舞台の上で,転がるねん(右手の指を回す).そいで…」
「そいで?」
「転がって転がって(指を回しながら右へ),舞台のこっちっ側から,出ていってまうねん」
「そんなにころがるの!?」
「ま,オーバーアクション,ちゅうやつやな.けどそれで終われへんのや」
「パパ,ちょっと聞いていい?」
「まだなんかあるの?」
「ママか.何や?」
「うえの子よ,何がすごい言うたらな,10秒か,20秒ほどしたら,さっきの人が,舞台の反対っ側から,転がって入ってくんねん(左手の指を回しながら胸元へ)」
「え〜なにそれ!!」
「そういうギャグやな.言うてもその芸人さんが,舞台の端から出たら,反対側の端に移動しただけのこっちゃが」
「パパの携帯料金,いくらなん?」
「すご〜い」
「ほんで立ち上がって,『世界一周してきたわ』って言うたりしてな」
「(月々の通信料金か,端末の購入費か,分からんが,購入費のほうかな)去年の春に買うたときは,○万円やったが」
「え〜! せかい一しゅう〜!!」
「え〜! パパ,毎月そんなに払ってんの〜!?」
「おもろかったか.けど学校で言うても,たぶん伝わらんと思うから,やめときや」
「ママよ,毎月そんなに払ろてたらおかしいゎ.通信料はもっと安いよ」
「パパおも白すぎ,せかい一しゅうやで〜」
「笑いと驚きが飛んできて,こっちは混乱してくるぞ!!」