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鴻鳥先生が大学で講義

本日発売のモーニングを見ると,「コウノドリ」は,主人公・鴻鳥サクラが院長の頼みにより,1回限りの講義を受け持っていました.母子感染症に関する講義です.
医大ではないし,教室内に妊婦がいるわけでもないので,授業開始時の学生は,私語などでやる気が見えません.
ですが学生どうしの会話で「実感わかないよね〜〜」というのを拾いあげ,「実感なんてわかなくていいんです」から始まって,学生に向けて産科医がその授業をする意図を説明しながら,

「自分や自分のパートナーが妊娠したときのことをほんの少しだけイメージして聞いてもらえたら……」「僕はスゴく嬉しいです」と,笑顔で話す時点では,部屋にいる全ての学生が,臨時講師の方を向くという展開になっています.
他にも,学生の発言を拾いあげるシーンが出てきます.「猫のフンや土の中にもトキソプラズマがいます」に対し,ある学生は「猫飼ってる」,別の学生は「犬飼ってんよ」と言い出します.

犬は大丈夫,とのこと.
1枚,めくると,「トキソプラズマは土の中では感染力が維持するので」「妊娠中にガーデニングなどを始めるのもオススメできません」と言っています.そこで手を挙げずに,学生が「これもワクチンとか治療法はないんですか?」と質問します.先生は1対1で対話をしているかのように,「はい……残念ながらありません」と答えます.

直後には,「自分に抗体があるかないかなんてわかんないよ」「調べられないんですか?」という,また別の学生に対し,産科医としての回答を提示しています.
授業を締めくくる段階では,「みんなを不安にさせるつもりはないんです」「サイトメガロウイルストキソプラズマという名前はもう忘れてもらってもいいです」と言ったあと,先生を見る学生たち,そして大学の建物のコマによる「間」を置いてから,次の絵を,結論にしています.

とはいえ,この授業はフィクションなわけです.付き人の小松と下屋が教室の後ろで騒ぐのを,鴻鳥が注意したり,挙手に指名しなかったりするのも,漫画だからこその表現と言っていいでしょう.
この話を読みながら,自分の授業でこういう進め方ができるものかと,考えてみました.学生は,「授業の流れ」を理解していますので,隣どうしで私語をすることはあっても,講義中に学生側から,教員に届くメッセージを発することは,ほとんどありません.今年度の学生からの発言はというと,コマンド実行の実演中でした.思うように結果が出ないときに,「引数を忘れてます」という指摘をもらい,それで動くようになったのでした.
そういえば,大学3年のときに,学生に積極的に発言をさせるという講義が1つ,ありました.自分が何を言ったかは,覚えていませんが,「させられている」感がありました.
コウノドリ」の授業は,学生の発する率直な疑問に対し,現時点では治療法(最適解)がないことなども伝えながら,将来のことを思ってもらえるよう,語りかけているわけです.
自分が受け持つ授業の話し方を,少し見直そうかと思った1話となりました.


「エマは星の夢を見る」が最終話を迎えました.久しぶりに,単行本を買いたいと思ったお話でした.